プレジデンツ・ケーキ(2025)
The President’s Cake
監督:ハサン・ハディ
出演:ワヒード・タベット・クライべット、サジャド・モハマド・カズム、ラヒム・アルハッジetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カンヌ監督週間 in Tokio 2025オープニングで『プレジデンツ・ケーキ』を観てきた。エンドロールで驚いたのだが、NHKが製作に携わっていた。NHKは意外とワールドシネマの製作支援に力を入れており、過去にはダルジャン・オミルバエフ『The Road』の製作にも携わっていたりする。既に松竹配給が決まっているのも納得な程に良作であった。
『プレジデンツ・ケーキ』あらすじ
フセイン独裁政権下のイラク。国連の経済制裁により生活が逼迫する中、国民は大統領の誕生日を祝わねばならない。学校から祝典用ケーキの調達担当に指名された少女は、祖母とともに市場に出かけるが、はぐれてしまう。不条理な生活を強いられたイラク市民の生活を、健気な少女の姿を通じて素朴かつ力強く描き、カンヌ映画祭の全部門を通じて決められる「新人監督賞(カメラ・ドール)」を受賞。
※カンヌ監督週間 in Tokio 2025より引用
はじめてのおつかい、イラク:エクストリームモード
サダム・フセイン独裁政権下のイラク。フセイン生誕祭を祝うために学校で役割分担が行われ、少女はケーキ作りを担当することとなる。とはいっても、イラクの市民は貧困に苦しめられている。祖母と買い出しに行くもはぐれてしまった彼女は相棒の少年と一緒に、食材探しの旅に出る。金が足りない。交渉するが、おじさんも生活がかかっているので安請け合いはしない。本作はエクストリームすぎるおつかいを、執念でひとつずつこなしていく少女の目線を通じてイラク社会の過酷さを訴えるものとなっている。少女は手伝いをするなどして着実にアイテムを揃えていくわけだが、その過程で恐ろしいことが起こる。タッチは『友だちのうちはどこ?』であるものの、キアロスタミ以上にハードな子どもたちの生活を前にイラク社会の過酷さがうかがえるのだ。本作はカンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞したわけだが、それも納得な宙吊りのサスペンス、物語推進のための手数の展開が冴えわたる一本であった。













