ジャグラー/ニューヨーク25時 4K修復版(1980)
NIGHT OF THE JUGGLER
監督:ロバート・バトラー
出演:ジェームズ・ブローリン、クリフ・ゴーマン、リチャード・カステラーノ、ダン・ヘダヤetc
評価:95点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
長らく幻の作品であった『ジャグラー/ニューヨーク25時』がまさかまさかの劇場公開。2025年はアラン・ギロディ特集から始まり、マノエル・ド・オリヴェイラ、アンドレア・アーノルドと配給難易度の高い作品が次から次へと公開されたゴールデンイヤーだったわけだが、そのクライマックスを飾るに相応しいラスボス『ジャグラー/ニューヨーク25時』が降臨し大興奮であった。
『ジャグラー/ニューヨーク25時 4K修復版』あらすじ
ニューヨークの街を舞台に、娘を誘拐された父親の命懸けの追跡劇をスピード感と臨場感たっぷりに活写したサスペンスアクション。
元警察官のトラック運転手ショーン・ボイドは妻と別れて以来、ひとり娘のキャシーと2人で暮らしている。キャシーの15歳の誕生日、ボイドはバレエ公演のチケットをプレゼントし、学校へ行くキャシーをセントラルパークまで送る。いつも通りの平穏な1日が始まるはずだったが、突如としてキャシーが見知らぬ車に引きずり込まれてしまう。目の前で愛娘を誘拐されたボイドは必死に後を追うも、車の横転事故により病院に搬送される。トネリ警部補率いるニューヨーク市警察の捜査チームによる事情聴取がなかなか進展せず、苛立ちを覚えたボイドは病院を抜けだし、独自に娘の捜索を開始する。
「悪魔の棲む家」のジェームズ・ブローリンが主演を務め、「真夜中のパーティー」のクリフ・ゴーマンが誘拐犯ソルテック、「ゴッドファーザー」のリチャード・カステラーノがトネリ警部補、「コマンドー」のダン・ヘダヤがボイドを逆恨みする元同僚バーンズ刑事を演じた。アメリカの作家ウィリアム・P・マッギバーンの同名小説を原作に、テレビドラマ「刑事コロンボ」などのロバート・バトラーが監督を務めた。権利問題から長らく鑑賞が困難となっていたが、2025年12月に4K修復版にてリバイバル上映。
全員ガンギマリな天国と地獄
シネマート新宿へ訪れると平日にもかかわらず多くの映画ファンが押し寄せる。治安の悪い映画はシネマート新宿の大スクリーン、ライブさながらの大音量で観るに限る。なんだかんだ治安が良い映画館でもあるので快適な状況で鑑賞した。
これが壮絶だ。グラセフの実況プレイでも見かけない程に治安ゴッサムシティ、登場人物みんながガンギマリの世界で『天国と地獄』をやる壮絶な内容となっていた。突然、娘を誘拐された元警察官の男は己の足で車を追いかける。タクシーを奪い、渋滞するニューヨークの街を歩道、赤信号お構いなしに走り抜ける。敵も顔が明らかとなっている。結構間抜けだ。あと一歩のところで捕まらない。ヒッチコック『見知らぬ乗客』における溝からアイテムを取ろうとするシーンばりに、主人公/敵双方に感情移入してしまう宙吊りの追いかけっこが失速することなく持続する。面白いのは、決して警察は味方ではないということだ。ぽっちゃり刑事、ガン決まり復讐刑事、そして突然現れるスラム街のチンピラ軍団が、主人公を追い回し、三つ巴の関係が形成される。町全体が不健全な生き物のように、何を考えているのかわからない人たちの妨害、絶体絶命袋の鼠状態からの脱出を乗り越え、執念に執念を重ねてハッピーエンドを目指していく様は笑いを通り越して涙が出るほどの感動をもたらした。ザジフィルムズさん、配給してくれてありがとう!













