ラッキー・ルー(2025)
Lucky Lu
監督:ロイド・リー・チョイ
出演:チャン・チェン、ファラ・チェン、カラベル・マンナ・ウェイetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第26回東京フィルメックスにて『ラッキー・ルー』を観た。本作は最近、国際映画祭市場で頻出のテーマとなっている《追い込まれるギグワーカー》ものである。この題材は不幸陳列罪を犯しがちになる一方で、時間で管理される逼迫感と映画との相性はよく『L’histoire de Souleymane』は昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞と俳優賞を受賞していたりする。『ラッキー・ルー』も確かに不幸陳列罪映画だし、竜頭蛇尾ではあるものの、サフディ兄弟作品のようなテクニカルな編集と修羅場のつるべ打ちに魅了された。
『ラッキー・ルー』あらすじ
主人公は台湾の名優チャン・チェン演じる中国人配達員のルー。彼は長年離れて暮らしていた妻と娘と共に新生活を送るためアパートの契約金を稼いでいたが、生活の手段である電動自転車を盗まれてしまう。ルーは家族と再び一緒に暮らすという希望を胸に、失った自転車と契約金を懸命に取り戻そうとする。
ニューヨークで働く配達員のルー・ジャチェン。夢だった故郷から妻と娘を呼び寄せるその日に故郷から妻と娘が到着するのを目前に、彼は電動自転車の盗難と家賃の持ち逃げに直面し、希望とは裏腹の厳しい現実の中で奔走する。ニューヨークを拠点に活動する韓国系カナダ人であるロイド・リー・チョイ監督が、自身の短編『Same Old』を長編化した本作では、ストリートレベルの中国人コミュニティが美化されることなくリアルに描かれており、登場する人々は皆、金銭的な問題や倫理的な欠陥を抱えながらそこに存在している。カメラはチャイナタウンの薄暗い路地をルーとともに揺れ動き、陰鬱な色調が、都市の冷たさとそこに住む人々の疲れ切った感情を反映する。主演を務めるチャン・チェンの繊細な演技が光っており、彼が体現する地に足の着いたリアリズムと、娘の視点を通したマジック・リアリズムの境界線が交錯する瞬間は、観客に忘れがたい印象を残すだろう。本作はカンヌ映画祭の監督週間でワールドプレミア上映された。
※第26回東京フィルメックスより引用
それでも僕は娘にウソをつく
主人公のルーは、一足早くNYにやってきてようやく我が家を手にする。彼は自転車一本で配達員の仕事をしている。妻子もようやくNY入りする段階で不幸が次々と彼に襲い掛かる。自転車は奪われ、仲介役に支払った金は家主に渡っておらず家から出ていけと言われる。ライフラインのスマホも取られ、ローンも組めなくなってしまう。そんな中、妻子がやってくるのだが、ようやくたどり着いた矢先に真実を伝えることができないルーは心配されながらも何事もないかのように振る舞う。でも、金策が上手くいかなければ家族は路頭に迷う。金策の旅に出ようとすると、娘にせがまれ一緒に街を駆け巡ることとなる。
前半は、ルーひとりに不幸が押し寄せる流れとなっている。社会システムにより確実に窮地へと追い込まれる様と編集による追い込みがシンクロし、恐ろしい程にひとつずつ重要なアイテムを失っていく。ただ、実際問題、人はそう簡単に死に場所を選べず、HP1の状態で街を彷徨うこととなるのだ。
首の皮ひとつつながった状態で家族を受け入れることとなるのだが、娘が恐ろしい程にすべてを見透かしている。
「パパじゃないみたい」
「仕事休んで遊んでくれないの」
「本当にだいじょうぶなの」
とナイフのようにルーを突きさしてくる。明らかにバレているのだが、それでも娘をガッカリさせないように嘘をつきながら綱渡りで金策をしていくのである。
この地獄のようなオデュッセイア、サディスティックな程に容赦なく、死の一歩手前で殺さない作りに感銘を受けた。













