女の子(2025)
Girl
監督:スー・チー
出演:ロイ・チウ、エスター・リウ、オードリー・リンetc
評価:30点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第26回東京フィルメックスで俳優のスー・チー初長編監督作品『女の子』が上映された。今年の東京フィルメックスは遂に末期か、来年本当に開催できるのかが怪しい程に、壊れたWebサイト、チケット販売の不手際、映写事故に、英語字幕未反映とイベントとして絶対にやってはいけないミスを連発しているわけだが、皮肉にも動員は過去一といっても過言ではないほどの盛り上がりを魅せている。中国・台湾情勢が悪化している中でもスー・チーを始めとする中国系の関係者が登壇できていることは凄いなと思う。
『女の子』あらすじ
内向的な少女シャオリーが、自由奔放な同級生リリーとの出会いを通じて、抑圧された生活から抜け出し、自分自身の人生を模索し始める姿を描く。シャオリーは、母から受け継がれた悲しみと、自由への強い願いとの間で葛藤しながら成長していく。
俳優として国際的に知られるスー・チー(舒淇)が、長編映画監督としての第一歩を踏み出したデビュー作『女の子(女孩)』は、1980年代末の台湾・基隆を舞台に、家庭内の葛藤と成長の痛みを抱える少女シャオリーの日常を描く。物語の中心にあるのは、家庭内で愛情を求めながらも、母との複雑な関係や父の暴力に揺れる少女の姿だ。彼女は出会ってすぐに親友になったリリーとの交遊や小さな冒険を通じて、閉ざされた世界に微かな光を見出していく。スー・チー自身の幼少期の記憶を下敷きにした半自伝的な作品だという本作は、劇的な展開というよりは、記憶の綾と心の微細な動きに寄り添うような作品として成立している。カメラの微妙な動きや余白を残したフレーミングには、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)をはじめとする台湾ニューシネマの影響が色濃く感じられるが、映画という表現の力に対する深い理解に裏打ちされているのは一目瞭然だ。本作はベネチア映画祭コンペティションでワールドプレミアされ、翌月の釜山映画祭で最優秀監督賞を受賞した。
※第26回東京フィルメックスより引用
邪悪なちびまる子ちゃん
さて、大盛況の朝日ホールで観た『女の子』だが、確かに監督の自伝的作品故にスー・チーが撮る必然性はあったものの、いわゆる不幸陳列罪を犯しており、同情を誘う一点集中な作品なので映画としては全くもって良くなかった。
クズ夫による母親へのDV。自分の願望と痛みの避雷針として娘のひとりであるシャオリーに母は手をあげる。そんな居心地の悪い家庭から逃げ出すように、富裕層の同級生リリーと親密な関係となっていく。ちびまる子ちゃんも実際にはこんな感じだったんだろうなと思いながら映画を観ていくわけだが、終盤に超展開でもってこのDV関係が一気に解決する。
確かにそれは皆の願望であるし、被害者が加害者になることなく解決するものだが、いくらなんでもデウス・エクス・マキナだし、映画としては反則だと思った。
なお、リリーが悪ガキに「てめぇウンチ野郎だ」と暴言を吐くのに対し、「僕がウンチなら、君はハエ、強く惹かれ合う」と高度な返しをしていたのに笑った。













