アニキ・ボボ(1942)
Aniki Bóbó
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ、アントニオ・サントス、ヴィタル・ドス・サントスetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下でマノエル・ド・オリヴェイラ長編デビュー作『アニキ・ボボ』が公開されたので観てきた。オリヴェイラにしては牧歌的で漫画チックな作品だと思っていたら超展開をむかえる一本であった。
『アニキ・ボボ』あらすじ
「アブラハム渓谷」「クレーヴの奥方」などで知られるポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラ監督が1942年に発表した長編デビュー作。オリベイラ監督の故郷であるポルトの街を舞台に、子どもたちの躍動を簡潔かつ大きなスケール感で描き、ネオレアリズモの先駆的作品とも言われる。
ドウロ川近郊に暮らす少年たち。内気な夢想家カルリートスと、恐れを知らないリーダーのエドゥアルドは、グループで唯一の少女テレジーニャに恋心を抱いている。ある日、カルリートスはテレジーニャが欲しがっていた人形を盗み、彼女にプレゼントする。しかしこの出来事をきっかけに少年たちの間に緊張が高まり、カルリートスはグループから仲間はずれにされてしまう。
2025年・第82回ベネチア国際映画祭クラシック部門にて4Kレストア版がプレミア上映された。日本では、25年11月に4Kレストア版で劇場公開。
牧歌的なオリヴェイラ映画……ではなかった
子どもが主人公のネオリアリズモ映画のような趣で、ガキどものコミュニティが描かれる。オリヴェイラと言えば文芸オペラタッチな作品が多い印象を受けるがその対岸にあるような空気感が流れている。そしてカット割りは極めて漫画的だ。学校に遅刻した少年がそろりそろりと教室に入る。先生にバレる。ギクッとしたポーズを取る。また、おじさんが飴の入った瓶を差し出す。おじさんにフォーカスが当たる。瓶をカメラが捉えると空になっている。窓の外では子どもたちが祝杯を挙げている。などといったようにカットとカットの繋がりを意識した笑いが生み出されているのだ。しかし、実写故にそのギャグが強烈に感じることもあり、それが終盤の超展開、子ども映画とは思えぬ壮絶さへと繋がっていくのである。それを観て、オリヴェイラ、一貫していると感じたのであった。












