エディントンへようこそ(2025)
Eddington
監督:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラーetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第38回東京国際映画祭で1席だけ空いていたからアリ・アスター新作『エディントンへようこそ』を観た。アリ・アスターは近年、プロデュースと称して他の作家を自分色に染める傾向があり嫌いだったのだが、本作を観ると『ボーはおそれている』に引き続き、アクションが撮れる監督だなと思った。さらには本作こそ彼のキャリア最高傑作だと感じた。
『エディントンへようこそ』あらすじ
「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が「ボーはおそれている」に続いてホアキン・フェニックスを主演に迎え、コロナ禍でロックダウンされた小さな町の選挙戦が全米を巻き込む大事件へと発展していく様子を描いたスリラー映画。
2020年、アメリカ・ニューメキシコ州の小さな町エディントン。コロナ禍のロックダウンにより息苦しい隔離生活を強いられ、住民たちの不満と不安は爆発寸前に陥っていた。そんな中、町の保安官ジョーは、IT企業誘致で町を救おうとする野心家の市長テッドとマスクの着用をめぐる小競り合いから対立し、突如として市長選に立候補する。ジョーとテッドの諍いの火は周囲へと燃え広がり、SNSはフェイクニュースと憎悪で大炎上する事態となる。一方、ジョーの妻ルイーズはカルト集団の教祖ヴァーノンの扇動動画に心を奪われ、陰謀論にのめりこむ。疑いと論争と憤怒が渦巻き、暴力が暴力を呼び、批判と陰謀が真実を覆い尽くすなか、エディントンの町は破滅の淵へと突き進んでいく。
保安官ジョーをホアキン・フェニックス、市長テッドをペドロ・パスカル、ジョーの妻ルイーズをエマ・ストーン、カルト集団の教祖ヴァーノンをオースティン・バトラーがそれぞれ演じた。2025年・第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
視野が狭い?いや、広いんだが?
とある田舎町、コロナ禍でピリつく町で保安官は独りノーマスクで治安維持に務めている。市長とは対立関係にあるなか、とあるきっかけで彼も市長へ立候補しようとする。外ではBLMや陰謀論、フェイクニュースによる混沌とした暴動が起こる中、彼もまた闇へと足を踏み入れる。
本作はスマホ画面が効果的に使われている。視野の狭さを強調する目的で扱われているのだ。そして、市民は各々の信念を変えず暴れており対話不能となっている。アリ・アスターは、視野が狭いと思われる人々の中に果てしなく広いナラティブが流れていることを撮影のギミックで表現している。
これは終盤における、もはや心象世界で内なる闇に向かって闘っているだけに思えるアクションと結びつき、この観点は面白いと感じた。なによりも、どこに敵がいるかわからない中、静けさの中、ミニガンを撃てども仕留められない様、彼の銃にヒットする弾、至近距離で命中しない弾、遅効性の被弾とガンアクションの手数が豪華で感動した。













