長江哀歌(2006)
三峽好人
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、ハン・サンミン、ワン・ホンウェイetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
ジャ・ジャンクーの映画は苦手なのだが、いい加減代表作である『長江哀歌』を観た方がいいなと鑑賞した。流石に評判高い映画だけあって強烈な映画体験となった。
『長江哀歌』あらすじ
06年のベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた、中国の若き名匠ジャ・ジャンクー監督による人間ドラマ。ダム建設によって水没することが決まっている三峡の街。16年前に別れた妻子を探しにこの街を訪れた炭鉱夫サンミンは、かつて妻が住んでいた場所がすでに水没してしまったことを知る。一方、音信不通の夫を探しにやって来たシェン・ホンは、夫が働いていた工場を訪れるが、そこに彼の姿はなく……。
廃墟に流れる人の手触り
本作において最大の主人公は廃墟であろう。一般的に廃墟とは人の活動が停止し、人がいた痕跡だけがのこる場所を示すのだが、本作における廃墟は時折、人の生が介在している。崩れ落ちて機能していないように思えるベランダに3人の女性がひょっこりと現れることで生活が顕となるのである。同様に、街のあちこちで男たちが建物を壊しているのだが、同時に建設している、機能あるものとして作り変えているようにも思えたりする。このようなある種、建造物に生と死、過去/現在/未来をゆだねた奇妙な世界を歩き回ることで感情の流れを掴み取ろうとしているのである。
そして『長江哀歌』が唯一無二なのは、果てしなく長い、一回性のロングショットを確実に仕留めている点である。廃墟の片隅の開けた場から、ビルの崩壊が捉えられる場面。一本綱を渡る危険な男を背にしたショット。誰にも真似できない廃墟の美学は一度観たら忘れられないものがある。
※映画.comより画像引用










