ビリオンダラー・コード(2021)
The Billion Dollar Code
監督:ロバート・タルハイム
出演:マルク・ヴァシュケ、ミシェル・マティチェヴィッチ、レオナルト・シャイヒャーetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、Instagramで大学時代の知人からDMが届き、Netflix配信のミニシリーズ『ビリオンダラー・コード』をオススメされた。システムエンジニアとしての見解が気になるようだ。普段こそテレビドラマは観ないものの、折角なので鑑賞したら、『ブラックベリー』に近い面白さがあった。
『ビリオンダラー・コード』あらすじ
実話に基づく本ミニシリーズは、コンピュータのパイオニアである2人のドイツ人が、Google Earthのアルゴリズムの発明者としての権利を主張して、一見まったく勝ち目のない相手と裁判で争った、驚くべき物語を描きます。東西ドイツ統一後の1990年代におけるベルリンのハッカー事情から、シリコンバレー初期の理想主義的な世界観や、数百万ドルにのぼる訴訟の容赦ない現実までが浮き彫りに。「The Billion Dollar Code (原題)」は、素晴らしい友情、忠誠心、そしてデジタル時代の正義とは何かについて語ります。
※Filmarksより引用
ガバガバな炎上プロジェクトの果てに
本作は、Google Earthのアルゴリズムの発明者として裁判を起こした実話に基づく話である。ベルリンの美大生を中心とするアングラハッカー界隈が、スーパーマンのようにリアルタイムに地球の特定の場所の写真を見ることのできるアプリケーションを開発しようとする過程とその後の裁判を交差させている。脚本が『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』のオリヴァー・ツィーゲンバルグだけあって、失速することなく泥沼なビジネスにおける軋轢をエンターテイメントに落とし込んでいる。特に第一話の盛り上がりは注目に値する。
『ターミネーター2』のCGを作ったマシンに触れたコンピュータオタクの2人。コンピュータは次世代のアートになると信じて止まない二人は、新しい可能性を模索する中で、地球のあらゆる場所にアクセスできるアイデアを思いつく。大企業を説得し、翌年に京都で行われるカンファレンスまでの開発期間と資金援助を勝ち取る。美大やクラブ仲間をかき集めた最強チームで開発を行うのだが、若気の至りといえよう。全くもってプロジェクト管理がされていないのだ。なんでも経費に落とし豪遊し夢を持って活動する。完璧な状態で魅せたいという想いから、途中経過を適切に管理しなかったが故に、重要なアルゴリズムで沼にハマってしまいプロジェクトは大炎上してしまう。これはステークホルダーも進捗を適切に把握していないため良くない進行ではあるのだが、開発者にありがちな「あとちょっとでなんとかなる」「完璧を目指したい」といった職人気質がプロジェクト炎上に繋がってしまう典型的な例であり、良い反面教師のドラマとなっている。
また、裁判シーンでもエンジニアはエンジニアの用語で嬉々として話すが、全く伝わっていない感じもリアルであり、プロジェクトマネージャとして活動している私にとって興味深い一本となった。プロジェクトマネージャ試験前に観ておけばよかったなと軽く後悔したのであった。












