『ORFEO』ストップモーション映画界隈に新鋭登場

ORFEO(2025)

監督:Virgilio Villoresi
出演:Luca Vergoni,Giulia Maenza,Vinicio Marchioni etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第82回ヴェネツィア国際映画祭に出品された『ORFEO』を観てみた。てっきり、実写歴史劇だと思っていたら、実写とストップモーションアニメを組み合わせた作品であり、シアター・イメージフォーラムで上映されているような一本であった。

『ORFEO』あらすじ

Since childhood, Orfeo has imagined fantastic stories around an abandoned villa across from his home—a place shrouded in unresolved legends. A solitary and visionary pianist, one evening at the Polypus—the club where he regularly plays—he locks eyes with Eura. A powerful, absolute love is born, yet she hides an unspeakable secret. Perhaps an illness, perhaps something deeper. One day, Eura suddenly vanishes, swallowed by an absence Orfeo cannot explain.
訳:幼い頃から、オルフェオは家の向かいにある廃墟となった別荘を巡る幻想的な物語を空想してきた。そこは未解決の伝説につつまれた場所だった。孤独で幻想的なピアニスト、オルフェオは、いつも演奏しているクラブ、ポリプスで、ある晩、エウラと目を合わせる。強烈で揺るぎない愛が芽生えるが、彼女は言い表せない秘密を隠していた。病気かもしれないし、もっと深い何かかもしれない。ある日、エウラは突然姿を消し、オルフェオには説明のつかない不在に飲み込まれる。

※Festival Scope Proより引用

ストップモーション映画界隈に新鋭登場

暖色と翳りを用いた耽美的な世界観の中で消滅したエウラの面影を求めるオルフェオが描かれる。なるほど、「物語」シリーズ(ここでは「業物語」だろう)や「魔法少女まどか☆マギカ」たる世界を海外でやろうとすると実写とストップモーションアニメの融合になるんだとわかる。仄暗い森で3体の霊的存在に襲われる。屋敷で浮遊するマントと対峙する。霊的存在は内なる闇であり、闇と対話することで人生の落としどころを見出そうとする。ストップモーションアニメは現実のモノを用いながら物理法則を無視した現実と虚構が交わる表現を得意とする。内なる存在との対話は虚構的でありながら現実と交わる。本作はそんな心理現象をファンタジーに委譲した作品といえよう。Virgilio Villoresiの今後に注目だ。

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