『私を忘れて』ベクトルが向けられない恋に恋をする

私を忘れて(1994)
OUBLIE-MOI

監督:ノエミ・ルヴォウスキー
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、エマニュエル・ドゥヴォス、エマニュエル・サランジェetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日仏学院にて開催の「フランス映画と女たち PART3」にて珍しい作品『私を忘れて』が上映された。本作はカイエ・デュ・シネマのベストに選出されている作品ながら日本では中々観ることのできない一本である。早速観てきた。ピンとは来なかったものの、『デザンシャンテ』や『パリ、18区、夜。』を好む時代のカイエ・デュ・シネマっぽい作品だと把握した。

『私を忘れて』あらすじ

Nathalie is together with Antoine, who really loves her, despite of her obvious tendency to get away from him. Eric, the former partner of Nathalie, does not want to be with her anymore, but she can not accept this. In her dispair she tortures herself, Antoine, and Eric. She even suggests Eric to get married. However, she must accept that things are as they are, even if you don’t like it, and finally tries to get back to Antoine.
訳:ナタリーは、アントワーヌと付き合っています。アントワーヌは、彼女が明らかに彼から離れようとする傾向にあるにもかかわらず、彼女を心から愛しています。ナタリーの元パートナーであるエリックは、もう彼女と一緒にいたくありませんが、彼女はそれを受け入れられません。絶望の中で、彼女は自分自身、アントワーヌ、そしてエリックを苦しめます。彼女はエリックに結婚を勧めることさえあります。しかし、たとえそれが気に入らなくても、現状を受け入れざるを得ず、ついにアントワーヌのもとへ戻ろうとします。

IMDbより引用

ベクトルが向けられない恋に恋をする

本作は、関心の眼差しを向けぬ男に惹かれる女が無責任に痛みを与えるクズ男を渡り歩くといった内容となっている。パリの街はどこかドライな感覚があり、無意識化で匿名的存在になりたい一方で誰かを求めている感覚が街とシンクロしていくものとなっている。ネット社会に突入する少し前の話なので、匿名性を維持しながら孤独を癒す手段は少ないため、厭な形のセックスに身を投じる生々しさがここにあった。だが、SNS時代を生きる私にはこの感覚があまり理解できず、催眠的であった。