魔法少女リリカルなのは The Movie 1st(2010)
監督:草川啓造
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、『鬼滅の刃』新作映画の上映時間が155分だと発表されて世間を驚かせた。150分を超えるアニメをまとめていた方がXにいて、その中に『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A’s』があった。それをみて確かにと思うと同時にどこか懐かしさを感じた。高校時代に観て衝撃を受けた作品だったからだ。しかし、1作目を観たことを思い出し、急遽U-NEXTで観た。15年前の映画ながら、今の子どもってこんな感じなのかなと思ったりと発見が多い作品となった。
『魔法少女リリカルなのは The Movie 1st』あらすじ
2004年にTV放映され人気を博した「魔法少女リリカルなのは」の劇場版第1作。TVシリーズ1期・全13話のエピソードを、新しいシナリオと映像で再構築する。ある事件をきっかけに魔法使いとなった平凡な小学3年生・高町なのは、同い年の少女魔導師フェイト・テスタロッサとともに、異世界の遺産「ジュエルシード」をめぐる戦いに巻き込まれていく。10年1月劇場公開。12年、劇場版第2作「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A’s」の公開にあわせ、リマスター版(11年10月発売のDVD/ブルーレイ収録)が公開。
2020年代を生きる子どもたちはこんな対話をしているのかもしれない
本作は、もしも碇シンジがプロジェクトにノリノリだったらといったような内容である。ひょんなことから、魔物に襲われるフェレットとエンカウントし、定石のごとく魔法少女になることを強要される。困っている人がいたら無視できない彼女は、意気揚々と契約を結び、ガジェット「レイジングハート」を使いこなし、異世界の者と渡り歩きながら和解/凶悪な存在との対決をこなしていく。
序盤こそは「カードキャプターさくら」のような、コスプレをしながら散らばったものを回収する構造の中で話を進めるのだが、魔法というよりかは魔砲と呼んだ方が良いだろう、ロボットアニメさながらのガジェットの運動、そして拠点を軸とした戦略アクション、鬱展開とヱヴァンゲリヲン路線へ転がっていく。この転調が独特で面白い。
そして何よりもインテリジェントデバイスと少女たちの対話が興味深い。なのはが手探りで「レイジングハート」に質問をする。デバイスは、彼女の質問に的確に答える。その回答をもとに戦略立てて、敵を制圧していく。これって生成AIを使って子どもがゲームを作る過程に近い。最終責任はデバイスの使い手が担う。使い手がやりたいことを投げかけ、そのヒントを得ながら目的を達成する光景は2020年代では当たり前になりつつあるのだ。先見の明のある作品だなと思った。