変な家(2024)
監督:石川淳一
出演:間宮祥太朗、佐藤二朗、川栄李奈etc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2024年大ヒットしたホラー映画『変な家』。映画ファンからは首をかしげる内容だと言われ、そもそも無視されていた作品ではあるが、興行では4週連続1位を叩き出しており、映画ファンと世論との乖離が著しかった作品。プライム・ビデオにて配信されていたので観たのだが、確かに酷評になるのもわからなくはないが、ライトな映画として確実に60点を取ってくる優等生的な作品であった。
『変な家』あらすじ
違和感だらけの“変”な間取りの裏に隠された驚きの真実に迫る展開で話題を集めたYouTube動画をもとに、動画制作者・雨穴が自ら物語の続きを加筆して書籍化したベストセラー小説「変な家」を映画化。
オカルト専門の動画クリエイター・雨宮はマネージャーから、購入予定の一軒家の間取りについて不可解な点があると相談される。そこで雨宮は、自身のオカルトネタの提供者であるミステリー愛好家の設計士・栗原に意見を聞いてみることに。間取り図から次々と浮かび上がる奇妙な違和感に、栗原はある恐ろしい仮説を導き出す。そんな中、その家のすぐ近くで死体遺棄事件が発生。事件と家との関連を疑う雨宮が一連の疑惑を動画にして投稿すると、その家に心当たりがあるという人物・宮江柚希から連絡が来る。
間宮祥太朗が雨宮役、佐藤二朗が栗原役で主演を務め、物語の鍵を握るヒロイン・柚希を川栄李奈が演じる。「エイプリルフールズ」の石川淳一監督がメガホンをとり、「七つの会議」の丑尾健太郎が脚本を担当。
※映画.comより引用
実は堅実なライトムービー
本作は確かに映画というよりかはYouTubeで配信されるフェイクドキュメンタリー「Q」シリーズのようなもので、明確に「映画」を観にきている映画ファンにとっては映画のような何かに思えるのかもしれない。ただ、この現象はテレビドラマの映画がヒットするのと同様、世論が映画に求めているのと映画ファンが映画に求めているものの乖離によるものである。
序盤は配信者である雨宮の日常が描かれる。配信者の映画ということもあり、絶妙にリアルだ。たくさん用意されている機材。撮影ブースから離れると、仄暗い空間、汚部屋になりつつある空間が見える。チャンネル登録者数は多いけれども、人気配信者も資本主義に取り込まれ「最近、視聴者数落ちてますよ」と言われ暗い気持ちになっている。生活よりも配信に重点が置かれ、生活が崩壊しかけている様が生々しく描かれている。
そんな中、新しい案件で栗原と対話することになるのだが、単調になりがちな顔の切り返しを、雨宮の観た世界の映像と、図面のショットを挿入することで、これから起こることへの好奇を誘う演出となっている。これは『飢餓海峡』の終盤のネタばらしパートで、記憶と記録のショットを繋ぎ合わせる場面に近く堅実な演出であるといえる。
また、他の映画では過剰な演技をさせがちな佐藤二朗もかなり抑えめな演技にチューニングされており、それにより寧ろ胡散臭さとリアルさを兼ね揃えた魅力的なキャラクターになっている。
無論、終盤の展開は映画を意識しすぎて過剰なドラマになってしまった点はあるものの、フラッと観るための映画としては優秀な作品だったといえる。全部が全部アート系映画のように高尚である必要は一切ないのである。