『ヒトラー、あるいはドイツ映画』蘇るヒトラー

ヒトラー、あるいはドイツ映画(1977)
Hitler- ein Film aus Deutschland

監督:ハンス=ユルゲン・ジーバーベルク
出演:ハインツ・シューベルト、ペーター・カーン、ヘルムート・ランゲ、ライナー・フォン・アルテンフェルスetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ハンス=ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、あるいはドイツ映画』がvimeoにあったので観た。

『ヒトラー、あるいはドイツ映画』あらすじ

Director Hans-Jurgen Syberberg examines the rise and fall of the Third Reich in this brooding seven-hour masterpiece, which incorporates puppetry, rear-screen projection, and a Wagnerian score into a singular epic vision. Syberberg, who grew up under Nazi tyranny, ruminates on good and evil and the rest of humanity’s complicity in the horrors of the holocaust.
訳:ハンス=ユルゲン・ジーベルベルク監督は、人形劇、リアスクリーンへの投影、そしてワーグナーの音楽を駆使し、唯一無二の壮大なヴィジョンを紡ぎ出す、7時間に及ぶ陰鬱な傑作で、第三帝国の興亡を描き出す。ナチスの圧政下で育ったジーベルベルク監督は、善と悪、そしてホロコーストの恐怖に人類がいかに加担したのかを深く掘り下げる。

IMDbより引用

蘇るヒトラー

ヒトラーを生み出してしまったドイツにおいてどのようにヒトラーを表象するか。ハンス=ユルゲン・ジーバーベルグはオペラを軸に、フッテージ、絵、人形などといった異なるオブジェクトを層のように重ねながら、空間を繋げ合わせることで多角的な側面を見出そうとする。このあまりにも異質な空間は、唯一無二の世界を生み出しており、悪魔的魅力に満ち溢れている。墓から蘇り、人形によって語らされるヒトラーと忘れることのできない強烈なヴィジュアルは、凶悪でありながら人々の関心を集め続けるヒトラー像を風刺しつつ、ミイラ取りがミイラになってしまうような危うさを持っている。何度でも復活し語られるヒトラー、その時に我々はどのように語るのか、どのように解釈するのかといった問いを突き付けてくる一本である。