名探偵コナン 隻眼の残像(2025)
監督:重原克也
出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、高田裕司etc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
近年の日本興業として、稼ぎ頭のアニメ映画を1館で一日数十回回す時刻表スタイルの戦略が取られている。これについては賛否がわかれるのだが、このようなアニメ映画のヒットのおかげでコッポラ『メガロポリス』が公開できるので感謝はしている。それに、確かに老若男女向けに説明台詞過多だったりするものの、大衆娯楽映画としては安定の面白さがあるので、映画として分析することはいい勉強になると思っている。ということで、今年もコナンを観てきた。
『名探偵コナン 隻眼の残像』あらすじ
国民的大ヒットアニメシリーズ「名探偵コナン」の劇場版28作目。毛利小五郎と長野県警の隻眼の警部・大和敢助がキーパーソンとなり、長野の雪山を舞台に巻き起こる過去と現在の事件を描く。
長野県・八ヶ岳連峰の未宝岳。長野県警の大和敢助は雪山である男を追っていたが、男が放ったライフル弾が左眼をかすめ、同時に起こった雪崩に巻き込まれて負傷してしまう。それから10カ月後。敢助は、天文台の施設研究員が襲撃された事件の捜査のため現場へ駆けつける。しかし、天文台の巨大パラボラアンテナが動き出すと、雪山の事件で負傷して失明していた敢助の左眼が、なぜか激しくうずくのだった。そしてその夜、毛利探偵事務所には、小五郎の警視庁時代の同僚だった「ワニ」と呼ばれる刑事から電話が入る。ワニは未宝岳で敢助が巻き込まれた雪崩事故を調査しており、事件ファイルに小五郎の名前があったというのだが……。
ゲスト声優に山田孝之と山下美月。監督は、過去の劇場版「名探偵コナン」などの演出に携わってきたアニメーター・演出家の重原克也。脚本は劇場版「名探偵コナン」のほか、「相棒」「科捜研の女」などの実写作品も多く手がける櫻井武晴。
阿笠博士のクイズがクソ過ぎた
ここ近年、コナンに限らず、アニメ映画は関係性の映画となっている。2時間の間で数十人クラスの登場人物に見せ場を魅せつつ物語を展開する映画が多い。最近だと、『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が記憶に新しいのだが、今回のコナンもまた強調すべき登場人物が多い。MCUだったら3時間近くかけて関係性を描くところを一切の無駄を廃することで2時間に収めている様は美しいものがある。
たとえば、タイトルまでの流れに着目したい。まず、雪山で長野県警の大和敢助が狙撃される場面から始まる。数分で事件と謎を残す。次に映画の舞台となる天文台での事件を数分で描き、コナンが日常から事件へ巻き込まれていくアクションを畳みかける。観客が迷子にならないように、本作を構成する要素を簡潔に説明しているのである。20分以内で、前提を語り切る鮮やかさに惹き込まれた。
また、本作ではガンアクションがメインとなっているのだが、ハリウッド映画顔負けの大スペクタクルが展開される。その時に各登場人物が自分の役割を理解し、その役割を全うする。各キャラクターの特性が重ね合わさって犯人を追い詰めていくアプローチがアメリカ映画的で面白かった。
一方で、近年劣化が進んでいる阿笠博士は歴代ワーストクラスに酷いものであった。もはや4択問題として破綻している上に、きちんとした解説すらなくなっており、いよいよ来年は廃止の方向で行くのかなと阿笠博士好きとしては悲しくなった。
※映画.comより画像引用