驟雨(1956)
監督:成瀬巳喜男
出演:佐野周二、原節子、香川京子、小林桂樹、根岸明美、恩田清二郎、加東大介etc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『乱れ雲』で成瀬巳喜男を観る流れになり、『驟雨』を観た。全体的にハマらなかったもののラストだけ凄まじいものがあったので語っていく。
『驟雨』あらすじ
結婚4年目の夫婦、並木亮太郎と妻・文子の間には冷たい倦怠の空気が流れていた。ある日の日曜日の朝、2人はささいなことからいさかいを始め、亮太郎は出かけてしまう。夕方を迎え、文子が買い出しから帰ると、新婚旅行に行っているはずの姪が待っていて…。
※Filmarksより引用
紙風船で倦怠期の危うさを表現
本作はいわゆる倦怠期者で序盤からヒリついた夫婦の会話が展開されていく。ただ、ずっと微妙に仲が悪い感じが続くだけなので観ていて辛いものがある。一方で、関係が修復しハッピーエンドを飾る紙風船で遊ぶ場面があるのだが、倦怠期、夫婦の危うさを表現としてこれ以上のものはないだろうという強烈さがあった。紙風船をポンポン飛ばすのだが、不規則に揺れる紙風船は地面に落ちそうだ。しかしギリギリ能取湖でラリーが続いていく。たまたま関係が回復したように思えるが、すぐにまた関係が悪化しそうな予感を抱かせて映画は終わるのである。視覚表現の豊かさの極み過ぎて、序盤の退屈さがどうでも良くなる凄さに満ち溢れていた。