『ハムレット』演劇の拡張としての階段

ハムレット(1948)
HAMLET

監督:ローレンス・オリヴィエ
出演:ローレンス・オリヴィエ、ジーン・シモンズ、ベイジル・シドニー、アイリーン・ハーリーetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『Grand Theft Hamlet』に備えて、ローレンス・オリヴィエ版『ハムレット』を再観した。高校時代のときに、英語の授業でシェイクスピアを扱っていた絡みで観たことはあったのだが、あまりのつまらなさに寝た記憶がある。実際、原作を読んだ今でもたくさん人が死ぬ以外の面白さを見いだせていないところがあるのだが、少しはこの映画版も楽しむことができた。

デンマークの王子・ハムレットは父の亡霊から、その死が新たに国王となった叔父・クローディアスによる毒殺であることを知る。復讐を誓ったハムレットは周囲の人々や愛する女性であるオフィーリアにも狂気を装い、暗殺の証拠を探し始めるが…。

Filmarksより引用

演劇の拡張としての階段

ローレンス・オリヴィエは忠実にシェイクスピアの世界を反映させようとしつつ、演劇の拡張としての映画のあり方を模索している。確かに台詞回しは演劇的なオーバーアクトではあるのだが、急勾配な階段を反復して捉えることで生と死の境界線を意識させていたり、城の屋上を異界のような空間にすることで心象世界を創り上げているなど、映画的な空間づくりには成功している。城の中で人が重ならないように配置する丁寧さ、幽霊の得体の知れなさを表現する煙もあり、思った以上に楽しく観ることができた。