エマニエル夫人(1974)
Emmanuelle
監督:ジュスト・ジャカン
出演:シルヴィア・クリステル、アラン・キュニー、マリカ・グリーン、ダニエル・サーキイetc
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
『エマニュエル』予習としてU-NEXTで『エマニエル夫人』を再観した。『エマニエル夫人』といえば言わずと知れたエロ映画の代名詞であり、高校時代「みうらじゅんがオススメしている」という理由で観た記憶がある。ただ、映像が美しいけれど退屈で寝てしまった。今回、改めて観ると、まあゴリゴリのオリエンタリズムだし、male-gaze描写がキツい作品ではあるのだが、『エマニュエル』を捉える上で一見の価値はあった。
『エマニエル夫人』あらすじ
夫の赴任先バンコクで性の悦びに目覚めていく女性を描き、主演のシルビア・クリステルを一躍スターダムに押し上げた官能ドラマ。
パリで暮らすエマニエルは、バンコクで外交官として働く夫ジャンのもとへ向かう。そこで知り合った人々の奔放な性生活に驚くエマニエルだったが、そんな彼女にもある秘めごとがあった。開放的なバンコクで、エマニエルは考古学者の女性ビーとつかの間の逃避行を楽しみ、性の大家マリオに導かれて官能の渦へ飛び込んでいく。
エマニエル・アルサンの同名小説を原作にファッション写真家のジュスト・ジャカンがメガホンをとり、「映画に愛をこめて アメリカの夜」のジャン=ルイ・リシャールが脚本を担当。本国フランスのみならず日本でも大ヒットを記録し、後に続編やテレビ版も製作された。2023年12月29日から、日本公開50周年を記念して4Kレストア版をリバイバル公開。
エマニュエル予習として観た
先日、『フリーダ 愛と痛みを生きた肖像』を観ただけに、フリーダ・カーロとディエゴ・リベラとの関係に近いものを感じた。外交官夫人として奥なる存在へ押し込められたエマニエル。バンコクでの野蛮な動物解体、物乞いに恐怖を抱くも、夫はにかっと笑うだけ。夫自身、妻ではない方向にベクトルが進んでいるようで孤独な彼女は性に溺れていく。『エマニエル夫人』の時代において「男が仕事をしている間、妻は家に閉じこもり退屈な家事をしているであろう。その退屈さから情事に明け暮れているのでは?」といった思想が国際的にあったように思われる。実際に、ジャン=リュック・ゴダールは『彼女について私が知っている二、三の事柄』を撮っており、日本でも団地妻系の映画が一時期たくさん作られた。時代性を感じる。
一方で、そうはいってもmale-gazeの側面で凶悪なものがあり、エマニエルが性行為している様子を見つめる男性従業員が、女性従業員を追いまわしてレイプする場面がある。最初は女性従業員も誘っているようなそぶりを見せながらレイプに発展していくのだが、それって性加害の現場で「お前が誘うようなそぶりを見せたからヤッたまでだ」といった口実を許すようなものであり、今だと厳しい表現だなとは感じた。