劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師(2024)
監督:藤森雅也
出演:高山みなみ、田中真弓、一龍斎貞友、関俊彦、大塚明夫etc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
平成世代のコンテンツともいえよう『忍たま乱太郎』のアニメ映画が公開された。『忍たま乱太郎』といえば女性人気が高いことでも知られる作品なのだが、実際に劇場を訪れて驚かされた。日曜日の昼の回にもかかわらず、子連れは数組しかおらず、8割型が大人の女性であったのだ。実際に観てみると、なるほど、映画自体ターゲット層が子どもというよりかは関係性オタク向けの作品に全振りしているところがあり、ある程度『忍たま乱太郎』の人間関係を知っておく必要性があった。
『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』あらすじ
1993年の放送開始以来、幅広い世代から親しまれ続けてきたテレビアニメ「忍たま乱太郎」の劇場版で、ファンの間で高い人気を誇る「小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」をアニメ化。
タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった土井先生が消息を絶った。山田先生と6年生が捜索を開始する一方、担任不在の1年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と尊奈門が教壇に立つことに。そんな中、きり丸は偶然にも、土井先生の置かれた状況を知る。やがて土井先生を探す6年生の前に、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼が出現。その顔は、なんと土井先生と瓜ふたつだった。
声優陣には乱太郎役の高山みなみ、きり丸役の田中真弓らおなじみのキャストが集結。アイドルグループ「なにわ男子」が主題歌およびテーマ曲「勇気100%」の歌唱を担当し、メンバーの大西流星と藤原丈一郎がゲスト声優として参加。アニメシリーズの初代キャラクターデザインを手がけた藤森雅也が監督を務め、原作小説の著者でテレビシリーズの脚本も手がけてきた阪口和久が脚本を担当。
関係性オタクを狙い撃ち
優しき教師・土井先生が果たし状を受け取り、暗夜に決闘が行われる。土井先生は圧倒的強者であり、出席簿、黒板消し、チョークで制圧していく。しかし、その戦闘中に消息不明となる。忍術学園総出で捜査を行う中、ドクタケ忍者隊に新しい軍師が現れる。なんと、彼は土井先生であった。
爽やかイケメン最強教師が闇堕ちする魅力的な設定を軸に、膨大なキャラクターが関係性を築き上げる。フラッシュ暗算が如く関係性が紡がれていくわけだが、人間関係を知らずとも一つ一つのセリフ回しや動きに親密さがあるように見える。そのため、たとえ推しのキャラクターの出番が少なくとも、その刹那から想像力が掻き立てられる仕組みとなっている。
残念ながら私は関係性オタクではないので、疾風怒濤のように進む物語には近くにいた退屈そうに観ている子ども同様の困惑を抱いたわけだが、アニメ演出としての手数は丁寧だったことを報告したい。
膨大なキャラクターが時間差で土井先生の現状を知っていく関係上、重複した説明描写が必要となっていく。ただ、同じ話をしても冗長になるだけなので、外のカットを入れて時間を省略したり、きり丸が「かくかくしかじか」というと、全ての説明が終わっていたりする。省略描写に複数のバリエーションを設けているところに好感を持った。
ただ、荒唐無稽に振り切って子どもでも楽しめるように作られていた三池崇史の実写版と比べると、これこそ「オトナ帝国の逆襲」で描かれていた光景なのではと感じてしまい複雑な気持ちとなった。
P.S.稗田八方斎のダンスシーンを観ると、多分これは2.5次元ミュージカル向きな題材なんだろうなとも思った。