ストア(1983)
STORE
監督:フレデリック・ワイズマン
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
アテネ・フランセにて開催中のフレデリック・ワイズマン特集で『ストア』を観た。王道ワイズマンともいえるビジネスの側面を描いた一本であった。
『ストア』概要
A look at the employees and shoppers at the Neiman-Marcus department store in Dallas, Texas during the holiday season.
訳:ホリデーシーズンのテキサス州ダラスにあるニーマン・マーカス百貨店の従業員と買い物客の様子。
ここにはたった一つの目標がある。
「どんな目標もたった一語で言い表すことができる。ここでは《Sales》だ!」
マーティン・スコセッシ映画が始まるのかと思うほどに、声高らかに宣言される目標。そして「剣の舞」リミックスとも言えようやかましいクラシック音楽の中、準備体操する従業員は配置につく。伝統的なデパートの商戦が始まる……と思いきや、ニーマン・マーカス百貨店では愚直に静かなる販売が行われる。
バックヤードでは万引き対策について意見を交わし、シャネルがリドリー・スコットに超高額予算でCMを撮らせた状況と比べ落胆する。管理者採用面接では、表層的に取り繕われた自己PRに対して好意的な態度を示す(だが、3週間かけて彼女の職場へ問い合わせるなどの身元調査をする旨が伝えられる)などといった地味な世界が続くのである。
《Sales》のマシンとなった従業員はデパートという服を纏い、仕事に対する愚痴を吐くことなく動き続ける様はどこかディストピア映画さながらであり、クライマックスの赤星が掲げられた空間で全く一言に収まっておらず歌まで披露しデパート創業者の功績を称える様で締めるられるところにフレデリック・ワイズマンのシニカルな眼差しを感じ取った。
少なくとも、この職場では私は働けないだろう。