『The Miu Miu Affaire』ファッションだけが残された

The Miu Miu Affaire(2024)

監督:ラウラ・シタレラ

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ファッションブランドのMiu Miuは勢いのある監督に短編を作らせるプロジェクトを行っている。最新作は『Trenque Lauquen』で注目されているアルゼンチンの異才ラウラ・シタレラだ。しかし、その内容は『Trenque Lauquen』のアナザーストーリーのようなものであった。

『The Miu Miu Affaire』あらすじ

A small town in Argentina, Trenque Lauquen, invites an Italian fashion house to show its latest collection. After an elaborate welcome ceremony and an initial photo shoot, the fashion house’s model vanishes, and a team of local police and consultants, including a clairvoyant, investigates.
訳:アルゼンチンの小さな町トレンケ・ラウケンは、イタリアのファッション・ハウスを招き、最新コレクションを発表する。入念な歓迎セレモニーと最初の写真撮影の後、そのファッション・ハウスのモデルが姿を消し、地元の警察と透視能力者を含むコンサルタントからなるチームが捜査にあたる。

IMDbより引用

ファッションだけが残された

Trenque Lauquenにモデルがやってきて盛り上がるのだが、突如彼女が姿を消し、警察たちが行方を追うミステリーとなっている。本作はミステリーを通じてファッションの本質を捉えることとなる。ファッションとは「誰かに見られたい」という欲動から生まれる一方で、生まれた時から他者の眼差しによってジャッジされる側面を持っている。モデルが失踪し、ファッションだけ残されることは、そういった眼差しから逃れることへのメタファーとして機能しているように思える。大衆は、眼差しを向けるのだが、ファッションの抜け殻しかない。眼差しを向けられる対象はミステリーの中で姿をくらませることにより自由となる。ファッションの呪いを説く鍵としてミステリーを用いたラウラ・シタレラの慧眼に痺れたのであった。