『Who’s Stopping Us』止められるか、私たちを!

Who’s Stopping Us(2021)
Quién lo impide

監督:ホナス・トルエバ

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カイエ・デュ・シネマベスト2022に選出されたホナス・トルエバの4時間近いドキュメンタリー『Who’s Stopping Us』がMUBIに来ていたので観た。本作は、2016年から2021年にかけてマドリードに暮らす高校生の生活を取ったドキュフィクションとなっている。やたらと評判が高い作品だったのだが、個人的にはあまりハマらなかった。

『Who’s Stopping Us』概要

Director Jonás Trueba captures the spirit of a group of teens in Spain in an empathic, compelling, and moving way. In 2016, Trueba asked the teens to participate in a five-year project, in which they recreated situations from their lives. They talk about their insecurities, wanting to be accepted, loneliness, and what they are supposed to do with their lives. They demonstrate against school privatisation, debate politics and, like many adults, worry about the planet’s future.
訳:監督のホナス・トルエバは、スペインの10代の若者たちの精神を、共感と説得力、そして感動的な方法で捉えている。2016年、トゥルエバ監督は10代の若者たちに5年間のプロジェクトに参加するよう依頼し、彼らの人生のシチュエーションを再現させた。彼らは不安、認められたい気持ち、孤独、そして自分の人生で何をすべきかについて語る。彼らは学校の民営化に反対するデモを行い、政治について議論し、多くの大人と同じように地球の将来を心配する。

IMDbより引用

止められるか、私たちを!

オンラインビデオ会議システムに次々と若者が集まる。そしてホナス・トルエバ監督から映画が完成したと告げられる。5年間の思い出が3時間40分に凝縮されていることに彼ら/彼女らは驚きが隠せない。監督は5年間かけて若者たちを撮る。ただ、撮るだけでなく、自分の心理をフィクションという形へ置換させることで若者心理を普遍的に捉えようとしている。ビーガンであることや漠然とした人生などが、演技を通じて形取られていく。

タイトルの”Who’s Stopping Us”は終盤のライブで、若者たちが歌う曲(あるいは歌詞)に起因している。思春期ならではのモヤモヤし、前へ進むかどうか迷っている状況がライブで吐き出される感情によって浄化される。全体的に迷える若者の「エモさ」を捉えた作品になっているのだが、そのエモさで押し切っているイメージがあり、話の内容もあまり面白いとは思えず乗れなかった。個人的にラドゥ・ジューデの技を知ってしまったため、Web会議をそのまま映画に乗せただけの演出に物足りなさを感じてしまったのと、コロナ禍の若者心理といったところも弱いのかなと感じてしまった。