『ぼくのお日さま』奥山大史のパワーアップした撮影に注目

ぼくのお日さま(2024)

監督:奥山大史
出演:越山敬達、中西希亜良、山田真歩、潤浩、池松壮亮、若葉竜也etc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて日本人監督として史上最年少で出品された奥山大史新作『ぼくのお日さま』。日本公開は9/13(金)ですが、試写で一足早く観させていただいたのでレビューを書いていく。

『ぼくのお日さま』あらすじ

「僕はイエス様が嫌い」で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史が監督・脚本・撮影・編集を手がけ、池松壮亮を主演に迎えて撮りあげた商業映画デビュー作。

雪の降る田舎町。ホッケーが苦手なきつ音の少年タクヤは、ドビュッシーの曲「月の光」に合わせてフィギュアスケートを練習する少女さくらに心を奪われる。ある日、さくらのコーチを務める元フィギュアスケート選手の荒川は、ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似して何度も転ぶタクヤの姿を目にする。タクヤの恋を応援しようと決めた荒川は、彼にフィギュア用のスケート靴を貸して練習につきあうことに。やがて荒川の提案で、タクヤとさくらはペアでアイスダンスの練習を始めることになり……。

池松がコーチの荒川役を務め、テレビドラマ「天狗の台所」の越山敬達がタクヤ、アイスダンス経験者で本作が演技デビューとなる中西希亜良がさくらを演じた。主題歌は音楽デュオ「ハンバート ハンバート」が2014年に手がけた同名楽曲。2024年・第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に、日本人監督としては史上最年少で選出された。

映画.comより引用

奥山大史のパワーアップした撮影に注目

まず、映画を観終えた時、真っ先に撮影監督を調べた。あまりにも凄まじかったからだ。撮影「奥山大史」と知った時、胸が熱くなった。『僕はイエス様が嫌い』で繊細な撮影をしていた彼が大幅にパワーアップしており、全てのショットがそのままポスターに成りえるぐらいに決まっていたのだ。

例えば、校舎の屋上を捉えるショット。半円状の屋上を三角になるように捉え、そこにメインの群れを配置。地上にもうひとつの群れを配置するのだ。本作は、スケートリンクの楕円を三角状に切り取り、観る/観られるの関係性を紡いでいくのだが、それに対応するショットとして屋上がある。映画はショットの強さに頼り切る訳ではない。吃音で、野球にアイスホッケーとスポーツが不得意な少年の恋の眼差し、それに対応する彼女の眼差し、二人を見守る元フィギュアスケート選手の眼差しを交差させて恋の情緒を描いていくのである。吃音という設定なので、眼差しによって物語られていくのである。

そして、そこにライティングの妙がある。全体的に柔らかい質感、透明感のあるライティングが注がれるのだが、突如翳りを魅せてくる場面がある。

これを観て、藤本タツキ「ルックバック」の実写化は奥山大史にやってほしいと思った。恐らく、実現したらカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されるであろう。

※映画.comより画像引用