『No.10』ヴァーメルダムは監視の末、はるか遠くへ投げ出した

No.10(2021)
Nr.10

監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
出演:トム・デュイスペレール、フリーダ・バーンハード、ハンス・ケスティング、アニエック・フェイファーetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『ボーグマン』の鬼才アレックス・ファン・ヴァーメルダムが長編10作目として『No.10』を発表した。毎回、奇天烈な世界観を提示してくるヴァーメルダム監督だが、今回は自分の傾向を軸にはるか遠くまでシナリオを投げていくタイプの作品であった。

『No.10』あらすじ

カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された「ボーグマン」など、静かな狂気に満ちた唯一無二の作品で知られるオランダの鬼才アレックス・ファン・バーメルダムが手がけた異色サスペンス。

幼少時に記憶をなくし、森に捨てられた末に里親のもとで育てられた男性ギュンターは、大人になると役者として舞台に立つようになった。しかし、共演者と不倫をしたり、ひとり娘が肺をひとつしか持たない状態で生まれてくるなど、その人生は波乱含みだった。やがて役者仲間に裏切られて残酷な仕打ちを受けたギュンターは復讐を決意するが、その先には想像を絶する事実が待ち受けていた。

映画.comより引用

ヴァーメルダムは監視の末、はるか遠くへ投げ出した

ヴァーメルダム監督はどうやら「監視」というテーマにこだわっているらしい。『ボーグマン』では、謎の訪問者が家族を監視し支配する話であった。『シュナイダーVSバックス』もヒットマンが監視する話であった。今回は、不倫を軸に見る/見られる関係性を描き出している。車から出る。男は携帯で女に連絡する。彼女は出るが、車が堰き止められたことでバレそうになる。バックミラーでバレるかどうかが描かれている。そして監視の目としてビデオカメラが使われたり、演劇における見る/見られるの構図に落とし込んでいたりする。その中で、どんどんと遠くへ物語は転がっていき、思わぬ方向へと放り出されてしまう。映画は排出でもって監視の関係が崩壊するのだが、観客もそこへ飲み込まれ、よくわからない余韻を残すこととなった。これ以上は何も言えない珍作である。
※映画.comより画像引用

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