【MyFFF】『緑の香水』ニコラ・パリゼのヒッチコック的アプローチ

緑の香水(2022)
原題:Le parfum vert
英題:The Green Perfume

監督:ニコラ・パリゼ
出演:ヴァンサン・ラコスト、サンドリーヌ・キベルラン、リュディガー・フォグラー、Léonie Simaga、アリエ・ワルトアルテetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルに『アリスと市長』のニコラ・パリゼ監督新作『緑の香水』が来ていた。『アリスと市長』においてオペラ座でのサスペンス描写に力が入っていた。今回はそれを拡張したような作品に仕上がっていた。

『緑の香水』あらすじ

コメディー・フランセーズの俳優が公演の真っ最中に毒殺される。現場を直接目撃した劇団員のマルタンは、警察にマークされるだけでなく、殺人を指示したであろう謎の組織「緑の香水」から命を狙われてしまう 。マルタンはバンドデシネのイラストレータ、クレールの助けを借りて、2人では「緑の香水」の計画を阻止しようとヨーロッパ中を駆け回り、謎を解明に乗り出す。

Filmarksより引用

ニコラ・パリゼのヒッチコック的アプローチ

オペラ座で役者が「緑の香水」とダイイングメッセージを残した状態で殺される。劇団員のマルタンはヒョこんなことから、謎の組織「緑の香水」と警察に追われることになる。自分の無実を証明するため、また「緑の香水」の計画を阻止するため、彼は走り続ける。ヒッチコック『三十九夜』的、追う/追われるの関係を軽妙に描いてみせた作品。『アリスと市長』で複雑な人間関係をオペラ座の空間で表現していたが、本作でも健在である。注目すべきは、「緑の組織」を追って建物に侵入する場面。非常に入り組んだ空間の中で追跡劇が繰り広げられ、その末に逃してしまうのである。また本作は明らかにヒッチコックを意識しており、舞台で始まり舞台裏で終わるアプローチは『三十九夜』を参考にしているといえる。個人的には思った以上にハマらなかったが、テクニック面で参考になる部分が多い作品であった。