厚木市子ども科学館のプラネタリウムで『アポロ 11:ファースト・ステップ版』を観てきた件
今年はアポロ11号が月面着陸を果たしてから50周年を迎えます。1969年といえば、文化史でいうと伝説的な年で大量の人が押し寄せ、嵐が起き災害レベルにまで発展したカウンターカルチャーの象徴であるウッドストック・フェスティバルが行われたり、アフリカ最大の映画祭ワガドゥグ全アフリカ映画祭が開かれた年でもあります。そんな1969年人類最大のイベント、アポロ11号月面着陸の映像が4Kリマスターとして蘇りました。新たにアメリカ公文書記録管理局(NARA)から発掘された70㎜フィルムのアーカイブ映像と11,000時間以上に及ぶ音声を編集し、余計なナレーションやインタビューシーン抜きに纏めたアーカイブ映画『アポロ11』が、全国10の科学館で公開されたので観てきました。本当は鹿児島の70mmフィルムバージョンを観たかったのですが、流石に行けなかったので厚木市子ども科学館にて鑑賞しました。意外にも上映館リストを見ると、国立科学博物館や日本科学未来館では上映されないんですね。
上映館一覧
・鹿児島市立科学館 7/1(月)~9/30(月)
・厚木市子ども科学館 7/6(土)~9/1(日)
・明石市立天文科学館 7/2(火)~2020/3/31(火)
・文化パルク城陽 7/6(土)~12/26(木)
・浜岡原子力館 7/8(月)~7/26(金)
・あすたむらんど徳島 7/13(土)~12/31(火)
・佐賀県立宇宙科学館 7/13(土)~9/8(日)
・サイエンスヒルズこまつ 7/20(土)~9/1(日)
・さいたま市宇宙劇場 8/4(日)1日限定
・広島市こども文化科学館 9/20(金)~12/20(金)
もくじ
ホームページをチェックしてみた
本施設は、厚木シティプラザ内にある小さい科学館とのこと。神奈川工科大学が命名権を取得しており、大学生が子どもたちのために分かりやすく科学の魅力を伝えるブースが主に並んでいる施設です。公式サイトを観ると、平成初頭のhtmlを彷彿とする外観となっています。ノスタルジーに浸りつつ、本当にここでやっているのだろうかと不安になります。7/6(土)にプラネタリウムがリニューアルしたそうで、『アポロ11』はその目玉上映作品なんだそうです。料金は大人200円と非常に安い。これでシネラマさながらの映像体験ができるとは驚きです。
実際に行ってみた
本厚木駅から徒歩5分のところにある厚木シティプラザの中に科学館はあります。入り口に上映作品のポスターが貼ってあります。ドラえもんやちびまる子ちゃんの映像も上映されるようです。
科学館の入り口にある券売機からチケットを購入します。満席かどうかは、作品名下部にある、人数カウンターを見れば分かります。90人収容することができます。なお、席は自由席で年間パスを持っている人から優先的に入場する方式を取っています。
上映まで時間があったのでブースをぶらついてみました。ブラックホールの仕組みがわかるインスタレーションや、大学生が制作したと思われる作品が所狭しと置いてありました。
プラネタリウム内部はこんな感じです。リクライニングシートとなっているので快適に楽しめます。
アポロ 11:ファースト・ステップ版(2019)
APOLLO11 FIRST STEPS EDITION
監督:トッド・ダグラス・ミラー
評価:70点
『アポロ 11:ファースト・ステップ版』概要
全米では長尺の劇場版『アポロ 11』が先んじて3月に公開され大成功をおさめ、それを科学館・博物
館用に再編集したものが本作『アポロ 11:ファースト・ステップ版』。ナレーションや当時を振り返るたぐいのインタビュー映像を一切いれず、あえて当時の映像と音声だけでアポロ11号の打ち上げ直前から帰還までの9日間にフォーカス、大迫力の映像もあいまって、その場に居合わせたかのような臨場と緊張を体感できる。
※Filmarksより引用
Orbital Odyssey(軌道のオデッセイ)
全米では長尺の劇場版『アポロ 11』が先んじて3月に公開され大成功をおさめ、それを科学館・博物
館用に再編集したものが本作『アポロ 11:ファースト・ステップ版』。ナレーションや当時を振り返るたぐいのインタビュー映像を一切いれず、あえて当時の映像と音声だけでアポロ11号の打ち上げ直前から帰還までの9日間にフォーカス、大迫力の映像もあいまって、その場に居合わせたかのような臨場と緊張を体感できる。
※Filmarksより引用
かつて、アメリカではテレビの登場により映画離れ対策が議論された。そして、映画館だけでしか体験できない価値を引き出すため、横型湾曲のスクリーンで映画を投影するシネラマという手法が取り入れられた。ネイチャー、観光ドキュメンタリーの先駆けとも言われる『これがシネラマだ!』は大衆に驚きを与えた。3D映画による没入感の実現が夢のまた夢だった時代、映画の世界に入るという体験をシネラマはもたらしたのです。
あれから半世紀以上経った今、3D映画が普及し、劇場もシネコンの発達、付加価値が高いスクリーンの導入によって映画体験にも様々な経験価値が共存するようになった。ではシネラマ的投影は古臭いのか?いや、そういったことはない。プラネタリウムでシネラマに近い映画体験をすることは非常に新鮮でした。もちろん、シネラマ以上にプラネタリウムに映画を投影することは大きな問題がある。アポロ11号がスクリーンの湾曲により歪な形となって観客に提示されるのだ。月面の風景を魅せる分には圧倒的没入感をもたらすのだが、それ以外のシーンでは違和感が観客を現実に引き戻す。
それを差し引いても、面白かった。47分という短い時間で、アポロ11号が月へ行き戻ってくる、Orbital Odyssey(軌道のオデッセイ)の感動を十二分に伝えることができていた。スマホもパソコンもない時代のゆったりとした時間の流れの中で、管制官の職員及びフライトを観に来た人々は指を咥えて今か今かと時が来るのを楽しみに待つ。
そして、音フェチには堪らない、無線のビープ音と篭った声で、一つずつ状況を確認していくのだ。
そして5,,,4,,,3,,,2,,,1,,,の合図で飛び立つアポロ11号。まるで生命の誕生の瞬間を捉えるかのように、刹那に広がる火炎を舐めるようにスローモーションでカメラは捉えていく。そこにある感動の圧は、テレビなんかでも散々擦り倒されているがやはり何度観ても感動してしまうものがあります。
そして月面着陸時に、何度も表示される1202のエラーコード。ニール・アームストロングたちは、大丈夫なのかと不安になるが、管制官は「気にするな」と言う。そして今度は1201のエラーコードが出て焦りながらも数フィーとずつ月面に脚を近づけていく様の緊迫感は圧巻です。
正直4Kリマスターと言っている割には、『宇宙へのフロンティア』の方が画質綺麗だったぞと思うし、全体的に映像が暗く見辛いところもあったのですが大満足な映像体験でした。
ブログ記事:『アポロ11 完全版』プラネタリウムより綺麗!感動する93分
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