わらびのこう 蕨野行(2003)
監督:恩地日出夫
出演:市原悦子、清水美那、石橋蓮司etc
評価:80点
おはようございます。
トークショーが終わったので、映画仲間から頂いたDVDを観まくっているチェ・ブンブンです。今年は全然邦画を観られていないので、恩地日出夫の『わらびのこう 蕨野行』を観てみることにしました。
『わらびのこう 蕨野行』あらすじ
江戸時代。その村には隠された掟があった。60歳を迎えた者は家を出て、人里離れた原野に移り住まなければならないのだ。そこは蕨野と呼ばれ、老人たちは里へ下って村々の仕事を手伝うことでのみ、その日の糧を得るのだった。この年もレンを含めた8人の老人が蕨野に入った。数年に一度必ず訪れる凶作を、村として乗り切るためにはどうしても必要な昔からの知恵…。そう覚悟をしていたレンではあったが、一つだけ気がかりがあった。それは、嫁いで間もないヌイのこと。レンはヌイに対して庄屋の嫁としての務めを十分に授けることができなかったのだ
※Yahoo!映画より引用
真面目な『デンデラ』
貴方は『デンデラ』という映画をご存知だろうか?『楢山節考』でパルムドールを撮った今村昌平の息子・天願大介が撮った姥捨サバイバル映画だ。しかしながら、蓋を開けてみると浅丘ルリ子、倍賞美津子といった大御所がコスプレ姿で熊と戦う異様な映画だったのです。あまりの異様さから、本作はカルトムービーとなり、姥捨山=デンデラという方程式まで出来上がりました。『デンデラ』以前の姥捨山映画は木下恵介vs今村昌平の『楢山節考』覇権争いが主流で、その二つの渦の狭間に飲まれ、歴史の彼方に追いやられた傑作がある。それが恩地日出夫監督の『わらびのこう 蕨野行』である。
2003年度キネマ旬報ベストテン日本映画8位にランクインした本作は、上記の姥捨映画とは違い徹底なリアリズムの中に詩を刻むことで、死を待つ者の生に対する渇望が観る者の心に染みる作品となっている。
60歳を超えると、村の老人は離れの集落に追い出されてしまう。老人たちは、ヨボヨボの身体で互いに助け合い、酷寒、不作に伴う過酷な環境を生きねばならない。村の娘はおにぎりを川に流し、老人に僅かな施しを与えるが、村のしきたりで十分に援助することができないのだ。
こういった酷な世界を、悟りきった対話でもって観客の心を揺さぶってくるのです。圧倒的自然の美しさ、それが突如暴力の刃として老人を痛めつける。それでも、互いに助け合い生きようとする様を観ると、余程今の日本の方が冷たいのではないか?この映画のムラびとよりも、老人や弱者に対して冷たいのではと思わずにはいられません。
これは一見の価値あり!歴史に埋もれてしまっているのが勿体無い日本映画でした。
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