【ネタバレなし解説】『ブレードランナー2049』が一見さんとミーハーお断りな7の理由

ブレードランナー2049(2017)
BLADE RUNNER2049(2017)

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ライアン・ゴズリング、
ハリソン・フォード、
アナ・デ・アルマス、
シルビア・ホークス、ロビン・ライトetc

評価:採点不能

友だちと11/19(日)に観に行こうと思っていたら、TOHOシネマズでは11/16(木)で上映終了だったことに気づき慌てて観に行きました。あの不朽のカルト映画『ブレードランナー』のリメイクとのことで、流石のホームランバッターことドゥニ・ヴィルヌーヴも前作を超えられないだろうと思っていたら非常に歪な形で前作を超えてました。そして、本作は決して『ブレードランナー』にあまり思い入れがない一見さんやミーハーと観てはいけない作品でした。今日はネタバレ全開で、何故一見さんやミーハーお断り映画なのかを語っていきます。

『ブレードランナー2049』あらすじ

2019年のレプリカントとブレードランナーの死闘により、タイレル社は倒産。そしてウォレス社が跡継ぎとなった。30年後、ウォレス社は寿命制限がないレプリカントを製造した。そんな中ブレードランナーのKは、旧式レプリカントの処刑業務を担当していたが、ある日レプリカントが妊娠した形跡を見つけたことから、そのレプリカントの子どもを捜すこととなり…

一見さんミーハーお断りな理由1:予習前提の作品

宣伝とかで「前作を観なくても楽しめる」と言われているが、それは嘘です。前作を観ていること前提に話が展開されます。しかも、前作を観ている人でも、本作のために作られた前日譚『ブレードランナー ブラックアウト2022』『2036: ネクサス・ドーン』『2048: ノーウェア・トゥ・ラン』を観ていないと、「タイレル社倒産?大停電?」ととっつきにくいエピソードの数々に困惑することでしょう。

一応、前作の内容を軽くおさらいすると、人造人間レプリカントに感情が芽生え始めた2019年。感情を持ったレプリカントが、人間に叛乱を仕掛けはじめたので、ブレードランナーと呼ばれる賞金稼ぎが駆除にあたっていた。デッカードが新しい任務でレプリカント狩りを始めるのだが、タイレル社の美女レプリカント・レイチェルに恋をしてしまう。そしてターゲットのレプリカントを倒すが、レイチェルだけは連れて街を逃げるように去って行くという内容です。

一見さんミーハーお断りな理由2:体感時間5時間

本作は、ハリウッドの2時間半級超大作の中では異例の体感時間が異常に長く感じる作品です。それこそ5時間ぐらいにブンブンは感じました。予告編にあるような激しいアクションは少なく、ドゥニ・ヴィルヌーヴの拘りが強すぎる美しい映像を前に物語がゆっくりゆっくり進みます。なので、物語の軸が見えてくるまで、まず1時間かかります。そして、ずっと水面下の心理戦が繰り広げられているので、一秒たりとも目が離せません。

実際に、ブンブンが観た回では、開始5分ぐらいして入ってきた3人組のいかにもミーハーな集団が、途中で飽きてしまったのか、交代でスクリーンの外に出たり、こともあろうかスマホをいじり始めたり、いちゃつき始めたりして大変そうでした(つまんなくてもスマホや過度ないちゃつきは勘弁してください)

一見さんミーハーお断りな理由3:従来の近未来の世界観を壊したミライの映画

この『ブレードランナー2049』最大の特徴は世界観の作り込みにあります。冒頭10分ぐらい観た程度だと、ヴァンゲリスの美しすぎる音響を前に展開される格好良すぎる街並みから始まる前作に遙か及ばないものの、ホログラムの斬新すぎる使い方や、観る者の心を奪う様々な廃墟もとい観たことあるようで今までなかったようなヴィジュアルの連続に酔います。


実は、『ブレードランナー』以降の近未来SFは皆、陰鬱で機械と和洋折衷に富んだ建物がごちゃごちゃした世界観が踏襲されていきました。そしてそんな『ブレードランナー』もホドロフスキー×メビウスが作った絵コンテ、バンドデシネにあたる『DUNE』や『アンカル』を踏襲している。つまりは、ここ数十年間ずっとホドロフスキー×メビウスの世界観に近未来SF映画は囚われていました。

それを本作は破壊しようとしたかなり実験的映画です。なので、前作の熱狂的ファンももしかしたら今回の世界観に不満を抱くかもしれない。ただ、間違いなく言えるのは、これはミライを先取りした映画なので、従来の近未来SF映画を期待して観るとかなりキツイ作品になっています。

一見さんミーハーお断りな理由4:ハリウッド映画としては珍しい難解アート映画

それにしても、『ブレードランナー2049』を観て思ったのは、ハリウッドのビッグバジェット映画でよくこんな難解アート映画をつくれたなーということ。通常ハリウッドのビッグバジェット映画は、売れる映画を作るためにプロデューサー等が口出しをします。だから、こんな長くて難解でアートな作品を許さないはずなのに、今目の前にはそんな長くて難解でアートな作品があります。

こりゃ普通のハリウッド大作観に行った人、特に映画の詳しくない人が「デートにこれ使おう。評判高そうだし、ハリウッド大作」だし大丈夫でしょ!」と思って観に行くと大やけどします。

一見さんミーハーお断りな理由5:かなりグロイ

前作も目つぶしシーンといったグロ描写があったが、今回眼球はもちろん、芋虫や無数の蜂などグロさに加え、気持ち悪い描写が沢山出てきます。なので、ある程度の耐性がないとキツかったりします。

しかも、シーンのほとんどが美しい絵面だけに突然これらの描写が出てくるとぎょっとします。

一見さんミーハーお断りな理由6:美しすぎて睡魔が襲ってきます

映画好きの間でも、『ブレードランナー2049』は美しすぎて眠くなるという声を沢山聞いたが、それは本当です。ハンス・ジマー大先生の壮大で幻想的な音楽を前に、廃墟が淡々と映し出される。正直、ブンブンも前半1時間うとうとする場面が何カ所かありました。

一見さんミーハーお断りな理由7:伏線が細かい

最後に、本作は細かい伏線が多数あります。

例えば、涙が重要になってきます。本作では、レプリカントは涙もろく、人間は全く涙を流さない。人間は感情をレプリカントに渡してしまったとも取れるシーンだが、終盤、Kが同様に涙もろくなるシーンでこのギミックが最大の効力を発揮してきます。

また、男は誰しも欲しくなる、ホログラムカノジョの棒や木の馬なんかも物語に重要な役割を果たします。

最後に…

本作は未だに自分の中で消化できていない作品であります。想像の斜め上を行く、観たこともないような作品に困惑と熱狂を覚えます。間違いなく、本作は前作に次ぐカルト映画になることでしょう。

そして、ドゥニ・ヴィルヌーヴ次回作は、あのデヴィッド・リンチが大失敗させた伝説の映画『DUNE』。これは楽しみですぞ!

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