『ゴッホ 最期の手紙』世にも珍しい油絵アニメに惚れろ!

ゴッホ 最期の手紙(2017)
Loving Vincent(2017)

監督:ドロタ・コビエラ,ヒュー・ウェルチマン
声の出演:ダグラス・ブース,
ジェローム・フリン,ヘレン・マックロリーetc

評価:60点

今年フランス・アヌシー行われたアヌシー国際アニメーション映画祭。最高賞にあたるクリスタル賞を『夜は短し歩けよ乙女

』の湯浅政明監督の映画『夜明け告げるルーのうた』が受賞し話題になったが、世界的にはもう一つ話題になった作品がある。それは『ゴッホ 最期の手紙』だ。

『ウェイキング・ライフ』や『テキサスタワー』でも使用されている、実写撮影とアニメの融合技術を駆使して作られた画家ゴッホの伝記映画である。本作が画期的なのは総勢125名の画家が約6万5000枚もの油絵が描いてアニメ化したということ。そしてオランダ・アムステルダムにあるゴッホ美術館(Van Gogh Museum)全面協力の下完成させた渾身の作品だと言うことだ。実際に観客賞は本作が受賞している。
ゴッホ映画と言えば、ヴィンセント・ミネリ、アラン・レネ、モーリス・ピアラ、ロバート・アルトマン、さらには黒澤明もゴッホ役をマーティン・スコセッシにやらせて映画化している程鬼才に愛され、撮られている。

今回、日本では無名のドロタ・コビエラ,ヒュー・ウェルチマンがゴッホ映画に挑んだようだが、果たして…

実際にTOHOシネマズ上野

で観てきました。

『ゴッホ 最期の手紙』あらすじ

約800枚もの絵画を描いたが、生涯たった1枚しか売れなかった不遇の印象派画家フィンセント・ファン・ゴッホ。郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンは父からミッションを与えられる。それはゴッホが自殺前に書いた手紙を彼の弟に届けるということ。早速パリへと向かい、聞き込み調査を行ううちに、ゴッホの生涯に魅せられていく…

映像が凄すぎて睡魔が…

↑作品名:ポートレート

↑作品名:カモフラージュする灯籠達

↑作品名:老経と渋いびんたち

本作は、上記の通り、総勢125名の画家が約6万5000枚もの油絵が描いてアニメ化した渾身の代物。ゴッホの作品はブンブンも小学校時代に魅せられて、図工の時間に沢山オマージュした絵を描きましたw

そんなゴッホの絵がアニメとして、それも実写と油絵が融合しているのでヌルヌルと迫ってくる。それも1.33:1の正方形に近いアスペクト比だから、観客は必然と、絵画を観るかのごとくスクリーンに吸い込まれていく。それがあまりに凄すぎて、失神しそうな程。実際に、映像に圧倒されまくって睡魔が襲ってきました。

当然ながら、内容が全く入ってきません。ゴッホの弟を追い、フランスへ渡ったポストマンの息子が、人々との聞き込み調査から、彼は「ゴッホ他殺説」を導き出す。これだけ聞くと面白そうな話なのだが、圧倒的な絵の前にストーリーが霞み、イマイチ何をしたいのかがよく分からなくなっている。

そう、この映画最大の欠点は美意識に拘りすぎてストーリーが腐ってしまったことだ。実写で描いたら、見せ場になったであろうことも、絵の暴力によって無に返される。物語の緩急が、油絵によってフラットにされてしまい、その結果、映像は凄いが物語は退屈になるという哀しいこととなっているのだ。

かといって、この映画から油絵要素をとったら、もはや『ゴッホ 最期の手紙(Loving Vincent)』としてのアイデンティティが失われてしまう。非常に評価に困る作品だ。ただ、ブンブンは手を大きく広げて本作を褒めることはできない。やはり、アニメ映画としてドラマ面も拘って欲しかった。この「拘る」とは絵のバランスだ。白黒とカラーの絵を折角使い分けているのなら、もっと、物語の緩急づけの為に使用し、シャープに、画面作りをしてほしかった。少なくとも、ブンブンにはあの絵のタッチの変化は無闇に見えてしまった。

ちなみに、本作の軸となっているゴッホの手紙はウェブ上で観ることが出来ます(英語)。
※Vincent van Gogh The Lettersサイト

この作品を観た後、無性にオランダのゴッホ美術館に行きたくなりました。

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