将軍様、あなたのために映画を撮ります
The Lovers and the Despot(2016)
監督:ロス・アダム,
ロバート・カンナン
出演:チェ・ウニ、
シン・サンオク、
キム・ジョンイルetc
評価:60点
映画史上奇怪な事件の一つ。
映画が撮りたい金正日が
韓国の女優・崔銀姫(チェ・ウニ)
と監督・申相玉(シン・サンオク)
を拉致し、約8年間
北朝鮮で映画を作らされていた事件。
未だに謎が多い事件を
イギリスが明らかにしていく。
概要
1978年、香港で韓国女優・崔銀姫
(チェ・ウニ)が行方不明となる。
そして立て続けに映画監督・
申相玉(シン・サンオク)も
行方不明になる。
手がかりは全くつかめぬまま、
5年ばかりが立とうとしていた。
しかし5年後、北朝鮮で
生き生きと映画撮影に励む
二人の姿が報道され、
息子達は衝撃を受けるのだった…
よくぞ資料を集めた!
本作は、北朝鮮という鎖国された
国で起きたことを、できる限り
資料を集めて明らかにしていく
この努力だけでも相当な価値の
ある作品だ。
なんと内気な性格故、
ほとんど公にされていなかった
金正日の肉声が崔銀姫
(チェ・ウニ)や
関係者による
隠し撮り音声で
もって明らかにされる。
そこには、独裁国家という
非常に抑圧された国で、
孤独に悩む金正日の心の叫び、
そして映画が撮りたくても
面白い映画が撮れない苦悩が
吐露されている。
これだけでも衝撃的なのに、
日本では視聴困難な
申相玉(シン・サンオク)
初期作品、
北朝鮮版タイタニック
「生きている霊魂」の
映像なども一部ながら
観られる非常に
資料性が高いドキュメンタリー
となっているのだ。
残念ながら、作品が作品な
だけに通常のドキュメンタリー
と比べると視点が少なかったり
物足りなさはあるのだが、
なかなか知ることのできない
世界、そして知っている
ようで知らない事件概要
を知ることができたので
十分満足できる作品と
言えよう。
解説:
崔銀姫と申相玉
崔銀姫
↑어느여대생의고백A College Woman’s Confession (1958)
1942年に「青春劇場」という演劇でデビュー。
撮影監督・金學成と結婚するものの
離婚し1953年に申相玉と再婚する。
1978年1月14日に香港で、
北朝鮮の秘密工作員に拉致され、
5年間洗脳教育を受ける。
そして5年後、申相玉と
北朝鮮で再会し、
助監督として金正日の
為に映画を撮るようになる。
1986年3月13日に
国際映画祭を狙った
新作ロケでオーストリアに
滞在中米国大使館に逃げ込み
脱北した。現在89歳。
申相玉
↑プルサガリ(1985)咸鏡北道清津出身の映画監督。
当時日本統治下だったため、
日本語が堪能だったりする。
現在の芸大にあたる
東京美術学校で映画を学び、
卒業後は韓国で映画監督
として作品を撮るようになる。
しかしながら、
当時韓国の映画制作費は
だいたい8000ウォンなのに、
2~3万ウォンで映画を
作っていたため、
資金不足でやくざの
取り立てに追われるようになり、
映画業界から干されることとなる。
そんな最中、北朝鮮に拉致され
金正日直属の映画監督となり
申フィルムという映画レーベル
を立ち上げる。
予算はムゲンに使えた為、
2年半で17本の映画を製作。
東宝のスタッフを交えて、
「プルサガリ」という怪獣映画を
作ったりした。
1986年に脱北してからは、
カンヌ国際映画祭審査員長を
務めたりしたが、2006年
79歳にして亡くなった。
「地獄でなぜ悪い」な人生を
送った監督でした。
北朝鮮映画を観る
政治的背景からほとんどの
北朝鮮映画は日本で
観ることは困難。
日本だけではなく、
他国でも同様な状況
ではあるが、いくつか
入手可能なDVDがあるとのこと。
「花を売る乙女」「春香伝」とか
意外とGoogleで調べると
出てくるので、
興味があれば
買ってみるのもいいかもしれませんね~
おまけ:北朝鮮旅行体験者の記事
海外旅行マニアとしては誰しも
頭をかすめる「北朝鮮」。
落ちているモノを拾うだけで逮捕される、
共産党員を連れて行かないと行けない、
50万円ぐらい(南米行けます)かかる
とか様々な噂が飛び交う。
[blogcard url=”http://www.chugai-trv.co.jp/index.html”]
調べたところどうやら、
日本から行くには中外旅行社
というところを介さないと行けないとのこと。
いくつか旅行記を探してきたので
貼っておきます。
ブンブンは責任を取りませんが、
興味ある方は北朝鮮に行かれてみては
どうでしょうか?
[blogcard url=”http://sekaishinbun.net/2014/06/05/north-korea-tour/”]
[blogcard url=”http://4travel.jp/travelogue/11141941”]
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