蜃気楼の舟(2016)
The Ark in the mirage(2016)
監督:竹馬靖具
出演:小水たいが、足立智充etc
評価:60点
私が尊敬するライムスター宇多丸が
本作の竹馬靖具監督に注目しており、
またドキュメンタリー映画作家である
想田和弘曰く
「わかるけどつまらない作品は多いが、
わからないけど面白い作品にはなかなか
出会えない。
本作は断然、後者である。」
とコメントしていた。
今の日本映画で
そんなことあるの?
とアップリンクで
「蜃気楼の舟」確かめてきました。
昨日14:50の回で観たのだが、
満席近い状況でしたぞ!
確か、サイン入りシューズや
動物の解体現場参加券などがついた
ユニーク前売り券システムを
導入したクラウドファンディング
等で宣伝がんばってたよな~
「蜃気楼の舟」あらすじ
「囲い屋」…それは、東京のホームレスを誘拐し、小屋で世話する代わりに生活保護費をピンハネする
悪質な商売である。
夢も希望もない青年は、
囲い屋で働いており、
今日も東京から何人か
ホームレスを誘拐してきた。
そんなある日、
誘拐してきたホームレスに
自分の父親が混じっていることに
気づき…
べたなインディーズだがユニーク
よく、学生映画やインディーズ系作品に
ありがちな回想を白黒、現実をカラーにし
重々しい雰囲気を醸し出す演出をしており
一見陳腐に見える。さらに厄介なことに
難解である。
普通の映画監督なら、
ホームレスの父と再会し、
自分の人生を見つめ合い苦悩、
暴れる描写等で直接的に
気持ちの動きを表現し、
ラストには希望の光を見せるという
展開にするだろう。
しかし、本作は突然青年が
空想の世界に創り出した森や
砂丘を歩って、、、歩って、、、
歩き回るだけなのだ。
しかしながら、
不思議と退屈にはならない。
普段、ブンブンはホームレスを
素通りしてしまうのだが
(ビッグイシューのホームレス
販売員とはお話しする)、
本作を観ると彼らのルーツが
どんどん知りたくなる。
ホームレスはどこからやってきたのか?
なぜ、ホームレスになってしまったのか?
囲い屋の青年はなぜこの
職業に就いたのか?
直接的には語られないが、
回想や役者さんの表情から
にじみ出る、母の死や
貧困がブンブンの骨に
染み渡る。
そして、行き場のない砂丘や
深淵なる森を歩き続けることで
希望の舟をつかもうとしている
ことがわかる。
「そこのみにて光輝く」が
ディズニー映画に思える程、
本作はファンタジーの中に
徹底して下の下を生きる
者のリアルな叫びを投影した
とんでもない作品でした。
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