ブリキの太鼓
(Die Blechtrommel)
監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:ダーフィト・ベンネント,マリオ・アドルフ
評価:80点
今、ブンブンは学校でドイツ映画専門家による
映画講義の授業を受けている。
そこで「ブリキの太鼓」の話題が出てきて、
久しぶりに観てみたくなった。
ってことで今日はニュージャーマンシネマの
代表格フォルカー・シュレンドルフ監督作
「ブリキの太鼓」を紹介するぞ~
「ブリキの太鼓」ってなーに?
1959年にノーベル賞作家で今年の4月に
亡くなったギュンター・グラス
が書いた超大作。
オトナの不条理な社会に嫌気が差した
オスカル少年は3歳で成長するのをやめ、
習得した超音波の魔法を使って
わがままに生き、女をはべらかし、
サーカス団に入りながらも自由奔放に
生きていた。
しかし、彼が21歳になるにつれ
家族が次々と病んで死亡。
遂に孤立し初めて現実と
向かい合い、成長する
道へと歩む…という
到底映画化できない内容である。
しかしながら、
フォルカー・シュレンドルフ監督は
官能的でグロテスクな
原作を再現すべく徹底的に
作り込んだのだ!
その結果、
当時11歳のベンネントに
濃厚な性的演技をさせたため
児童ポルノ問題が浮上し、
アカデミー賞やパルムドールを
受賞したにも関わらず
北米では長年所持が
禁じられていた黒歴史を
持つ作品である。
就活生にとって地獄を魅せてくれる…
今観ると、マジでホラーである。早回しやスローモーション、
ユニークな子宮描写とコミカルで
面白い描写が多いのだが、
就活を控えたブンブンにはビビる
内容である。
強大な力で自由奔放に生きていた
男が現実と直面し成長せざる終えない。
今まで、斜に構えて大人社会を
皮肉っていた人が本格的に
大人社会のキタナイ世界へと入って行く。
本作では、オトナになって以降の話は
描かれてない。希望的、感動的
ラストになっているが、
オスカルの不安な表情はまさに
今のブンブンそっくりである。
映画の知識だけで、
学校で暴れまくってきたブンブンが、
それの使えない世界に入っていく。
原作では成長すると、
超音波という強大な魔法は
失われていく。
それでも生きていかねばならない
切なさは、今にも通じることであろう。
さて話は映画に戻す。
よく、この「3歳で成長を止めた男」
って設定を維持できたなと思う。
確かに海外は日本よりも、
小さい人を映画に起用する
っちゃするけれど、原作の特性上
演技をさせるのは難しい。
常にシニカルで、斜めに構え、
なおかつ可愛らしく台詞を言う。
これはこれは6年ぶりぐらいに
観たが、歴史的怪作だなと
感じた。
ところで余談だが、
AKIRAに出てくる超能力を
持った子どもが非常に
この作品に出てくる小人
に似ている。
大友さんは、
「ブリキの太鼓」を観て
キャラクターを創り上げた
のだろうか?
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