少女は自転車にのって(WADJDA)
監督:ハイファ・アル=マンスール
出演:ワアド・ムハンマド、リーム・アブドゥラetc
評価:80点
イスラム圏では娯楽が凄い制限されており、音楽や映画が厳しく取り締まられていたりする。例えば、イランではロックが厳しく取り締まられており、「ペルシャ猫を誰も知らない」ではイランでインディーズ・ロックに明け暮れる若者をゲリラ撮影し映画を作ったが為に、監督が亡命せざるえない事態に至ったりする。そんな今回、イランより映画に対し厳しいサウジアラビアで、しかも女性監督が映画を作ったのだ!
映画館がない?サウジアラビア
サウジアラビアでは1980年代以降一般の映画館を建てることが禁止されていた。唯一許されているのは、米石油会社アラムコの施設内の映画館のみという非常に厳しい状態であった。しかし、朝日新聞の記事によると、ケーブルテレビでの映画鑑賞は可能とのことなのでハイファ・アル=マンスール監督は「死霊のはらわた」やジャッキーチェン映画を観て育ったとのこと。
そんな、彼女が映画学校で学んだ後、サンダンスからの映画撮影班が中東で映画を撮ろうとしているのを聞きつけて、今回この映画を撮った。しかし、一歩間違えれば宗教警察に捕まってしまう状況下故に、彼女はドイツの撮影班に指示を出し、影から見守る手法でしか映画が撮れなかった。そんな苦悩の末に作ったこの作品は、ヴェネツィア国際映画祭、ドバイ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭で相次いで賞を獲り、その結果なのか、30年以上にわたる映画館禁止令がついに今年始めに撤廃された。
『少女は自転車にのって』あらすじ
おてんば少女ワジダは、先生や母親の理不尽な規則にうんざり。反発ばっかりしている。そんなある日、彼女はチャリンコ少年にいたずらされてしまう。ムカついた彼女は、チャリンコを買おうとし、ミサンガや音楽テープの販売で荒稼ぎを始める。そんな中、コーラン・コンテスト開催のお知らせが先生から発せられ、賞金が出ると知った彼女はコーランの勉強を始める…素朴だが見所満載
この作品を観ると、日本人からはあまり想像のつかないサウジアラビアの文化が垣間見られる。例えば、店にプレステ(?)ごと入った
ゲームが売っている。それが62リヤル(1,984円)で買える。んで、中身は「コーラン学習ゲーム」!クイズ$ミリオネアのような画面で、4択クイズが永遠と展開されるが…つまんなそーw
あと、イスラム圏の女性は黒い布で身を隠して質素な生活をしているように思うが、黒い布の下ではオシャレをしている。主人公の少女ワジダはスニーカーを隠れて履いている。もちろん、そんな素朴な驚きの他に怖い驚きがある。ワジダが非行で校長室に呼び出されたとき、普通に「不倫したら警察に捕まった人がいるんだよ」と校長が語り始め、日常会話にも宗教ポリスって単語が出てきて、非常に怖い。
本当に、女性監督が映画館のない国でよく作ったと賞賛に値する作品だ(*^_^*)
イランでも、近年女性監督マルジャン・サトラピが「ペルセポリス」というアニメ映画でカンヌを受賞したりと、イスラムでも
女性が強くなってきている。皮肉にも、抑圧された国から大傑作が生まれているのだが今後サウジアラビア映画およびハイファ・アル=マンスール作品に期待できそうだ。
参考資料
・朝日新聞「サウジアラビアで映画解禁へ 娯楽求める声が高まり」
2015/01/07、渡辺淳基著(2015/07/17閲覧)
・町山智浩解説
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