雪国(1957)
監督:豊田四郎
出演:池部良、岸惠子
大学のゼミで実は日本文学研究している
ブンブンです。この前、川端康成の「雪国」
について扱う準備としてみんなで映画版を
観ました。「夫婦善哉」の豊田四郎監督で
主演は池部良、岸惠子とビッグスターでした。
評価:50点
川端康成の「雪国」は非常に難解な心理ドラマ
であり、文章でしか表せないような美しい
文体が特徴であり、映画化が非常に
難しい作品である。ましてや、大衆向けに
作るとなると…もうお手上げ状態だw
しかし、豊田四郎は「和」を撮るのが
上手い安本淳をコントロールし、
限界に挑戦した。
冒頭の「国境の長いトンネルを
抜けると雪国であった。」はもちろん、
原作ではわかりにくく且つそれが
重要な「時間の経過」描写も
テクニカルに描く。
同じ構図の風景を、時間の経過を
表す描写に充て、つららや花火で
季節や時間が観客にわかるように
仕込む技が施されていた。
しかし、通俗的
しかし、製作年が1957年と
戦後間もない事もあってか、
非常に通俗的な演出が多く、
原作の美しさを描ききれて
いなかった。
例えば、耳を澄ますと
サウンドトラックが
「風と共に去りぬ」そっくりである。
つまり、三味線や和太鼓の旋律ではなく
アメリカのメロドラの旋律でストーリー
に起伏を与えているのだ。
戦後日本映画は、アメリカに影響を受け、
メロディドラマやミュージカルが多数
作られているが、「雪国」では
ヨーロッパ映画のように「サントラなし」、
あるいは和楽器の旋律を貫き通した方が
作品にマッチする気がする。
洋楽使っているにせよ、
「仁義なき戦い」のような
観客に「邦楽」と勘違いさせるような
メロディ展開もなかったので通俗に
陥っていると感じた。
また「雪国」では島村と駒子、そして
葉子の三角関係が大事なのに、
それをおざなりにして、ひたすらに
島村と駒子の濡れ場を強調して
描いており、前半が非常にたるかった。
後半のドラマティックな展開が
面白いだけに、前半30分削って
ほしかった。
なんでも小説やマンガが
映画化される時代、
ある意味、映画化できない小説を
書くことが小説家の腕が試される
ポイントなのかなと思いながら
来週小説の「雪国」について
議論する準備をする
ブンブンでした。
「雪国(1957)」予告編
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