【自主オバマ映画祭】『サポート・ザ・ガールズ』パリピガールの日常から薄っすら見えてくる女性像の消費

サポート・ザ・ガールズ(2018)
Support the Girls

監督:アンドリュー・ブジャルスキー
出演:Regina Hall, Haley Lu Richardson, Dylan Gelula etc

評価:70点

年末にオバマ大統領が選んだ2018年お気に入りの映画

の中に見慣れない黒人映画のタイトルがありました。『Support the Girls』。昨年は、ハイレベルな黒人映画が沢山作られていたのだが、奇抜で差別風刺を行った『SORRY TO BOTHER YOU

』ではなく、本作を選んだ。この作品は、一見すると、パリピなスポーツバーのギャルたちがダラダラとくっちゃべっているおバカ映画に見えるのだが、監督はあのアンドリュー・ブジャルスキーである。ハーバード大学卒業のインテリ映画監督であり、『Funny Ha Ha』、『ハンナだけど、生きていく!』でマンブルコア映画というジャンルを確立させた監督である。徹底した日常を捉えることで、現代社会の本当の葛藤が滲み出てくるスタイルの先駆者だ。

そんな最先端の映画をオバマ前米国大統領がフォローしているとは非常に驚きだ。早速観てみました。

『Support the Girls』あらすじ

スポーツバーで働くリサは店の責任者として、毎日大忙し、差別的な経営者やセクハラ客とは闘い、後輩の面倒はよくみていた。プライベートな悩みにも親身になっていた。そんなある日、リサは解雇されることとなってしまう。腹を立てた仲間たちは、格闘技の試合で盛り上がる日にあることを企画する…

パリピガールの日常から薄っすら見えてくる女性像の消費

本作は、退屈に感じてしまう人が多い作品かもしれない。というのも、パリピなギャル、ギャルした女性店員たちがダラダラと駄話しながら店支度するシーンが大半を占めているからだ。あらすじを読むと社会派色の強い作品に見えるかもしれないが、その一つ一つの事件は強調されることなく過ぎ去って生きます。『デス・プルーフ』のようなお色気駄話復讐譚を期待して観ると、あまりの塩っ気のないテイストにゲンナリするでしょう。

しかしながら、この作品をじっくり観ると、現代社会が無意識に持っている差別が見えてくる。限りなく現実に近づけている話故に、問題が見えづらくなっているのだ。バーの営業が始まると、男たちが「あの姉ちゃん何カップだろう、Bカップ?」と話始める。店員さんを、目の保養、消費物として見ている。警察官は、しょっちゅう見回りにきているのだが、その目は軽蔑そのもの。彼女たちを下に見ている。それに対して、店員は颯爽と振る舞う。ガールズパワーでみんなで助け合い、時には喝を入れ店を盛り上げていく。

そんなスポーツバーのリーダーであるリサが、バーを辞める事態となる。あんなに楽観的で面倒見が良くて素晴らしい彼女に何があったのか?仲間はその真相を知ると、段々、店のオーナーや店に来る下品な野郎どもに苛立ちを覚えて、ある復讐を考え始める。

プロット自体は『デス・プルーフ』とほとんど同じなのだが、現実の復讐譚が歯切れが悪いのと同様、本作の結末もどこか歯切れが悪いものとなっている。どこか退廃している青春の甘酸っぱさを全編にプンプンと漂わせていて、一見頭お花畑に見える女性たちが、最後の最後にそれぞれの心の底にしまっていた気持ちを解放し、叫んでいく姿は非常に美しかった。悪気はないのだが、ちょっとした拍子で差別、セクハラに踏み込んでしまう様子に警鐘を鳴らした佳作であった。

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