【東京フィルメックス】『盗馬賊』気がついたらチベットの大地にいた!!

盗馬賊(1986)
The Horse Thief

監督:ティエン・チュアンチュアン
出演:ツアイ・シャン・レン・ズン、旦技姫etc

評価:75点

今回の東京フィルメックスの上映で嬉しかったのは『盗馬賊』のデジタルリマスター上映が企画されていたことだ。本作はブンブンの聖書『死ぬまでに観たい映画1001本』に掲載されている、鑑賞難易度Sランク(伝説のポケモンを摑まえる並みに難しい)の作品だ。それを、デジタルリマスターで観られるのは目から鱗。『死ぬまでに観たい映画1001本』フルマラソンをライフワークにしているブンブンにとって、これは行かねば!と思い観てきました。

『盗馬賊』あらすじ

盗馬賊のノルブは、息子が生まれたのをきっかけに馬を盗むことを辞めようとする。しかしながら、食料が入手できず、そして次男が産まれたことから再び馬を盗むことにするのだが…

気がつけば、チベットの大地に貴方はいる

マーティン・スコセッシに絶賛された本作は、一応の物語こそあれど、チベット文化を伝えるドキュメンタリーの側面が強い内容となっている。寺院にある、ガラガラを回し経を唱える、大きな被り物をして踊り狂う、河に人形を流しそこに石を投げつける水鎮の儀式に、五体投地といった現代社会から隔絶された地に残る文化を幻想的な音楽と映像で魅せていきます。今回、デジタルリマスターされたといことで観たのだが、これが毎年密かに公開されている自然系ドキュメンタリーに引けを取らない程美しい。できれば、シネラマとか3面シアターで観たいと思うほど、広大な大地に心が洗われます。特に、チベットの広大な大地に舞い散る紙吹雪のシーンは、涙が出るほど美しかった。

そんな美しい世界、気がつけばチベットの大地に観客も足を踏み入れているわけだが、そこで繰り広げられるのは盗馬賊の哀しい生活だ。盗馬賊の朝は早い。日の出前から行動し、集落に忍び寄る。一人は馬の綱を切り落とす。もう一人は、集落のテントを破壊する。この連係プレイで馬を奪うのだ。無益な殺しはしない。人と対峙しても、相手が攻撃しないと分かると剣を収める。彼らは戦闘民族ではないのだ。そんな盗馬賊も息子の為を想い、馬を盗むのを辞めようとする。しかし、時は酷寒の季節。景色は美しいが、ロクに食料となるものがない。困窮していくのだ。そんな彼が雪山で涙ながらしでかす、ある行為に涙が出ることでしょう。

実はこの上映、何故かチベット語ではなく、中国語吹き替え版だったのが非常に残念でしたが、時間に終われるシティ・ボーイの生活とは対局の世界にある美を堪能できて大満足でした。

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