【LBFF】「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」パブロ・ララインが描くもう一つの「イル・ポスティーノ」

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(2016)
NERUDA(2016)

監督:パブロ・ラライン
出演:ルイス・ニェッコ、
メルセデス・モラーン、
ガエル・ガルシア・ベルナルetc

評価:55点

ノーベル文学賞をカズオ・イシグロが制し、話題になっている中、私はラテンビート映画祭で1971年受賞者のパブロ・ネルーダの伝記映画「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」を観てきた。

本作は「NO

」で注目され、「ジャッキー」を手がけたチリの監督パブロ・ラライン。彼の作品は、映画祭案件で劇場公開難しいものばかり。現に「ザ・クラブ

」は日本未公開となった。

そんな中、東北新社が買い付け本作は11/11(土)に公開が決まりました。果たして、、、

「ネルーダ」あらすじ

共産党が非合法扱いされていることにネルーダ上院議員は怒りを表明したのだ。それにより、ビデラ大統領はネルーダ逮捕令を出し警察官による捜索が始まる。そんな最中、ネルーダはこの出来事を「大いなる歌」という詩集にまとめ出版し、亡命することになる…

パブロ・ネルーダとは?

一足先に観たのですが、「イル・ポスティーノ」に出てくるおじさんの映画という軽い気持ちで観ると前半、寝る寝る寝るーダ、睡魔との闘いになります。

ではパブロ・ネルーダとはどんな人物でしょう。

彼はチリの政治家であり詩人です。1934年に外交官としてスペインに赴任し、その時にフランコ独裁政権により勃発したスペイン内戦を目の当たりにする。それをきっかけに彼は共産党員となり、スペインの共産党側に立ち、内戦を支援した。チリに帰還してからは、選挙に出馬し、1945年上院議員に当選。チリ共産党に入党。

しかし、当時の大統領であるガブリエル・ゴンサレス・ビデラが、親米であり、アメリカへの忠誠を誓う形で国内の共産党員、社会主義者を排除しようとした。

本作は、丁度ネルーダとビデラ大統領が対立するところから始まる。

もう一つの「イル・ポスティーノ」

本作を撮った、パブロ・ラライン監督の両親は政治家な為、逃走劇の演出自体はアーティスティックなのだが、政界の様子はかかなり生々しくリアルだ。冒頭、いきなり便所で政治家vsネルーダの言論合戦が繰り広げられる。なんでパーティー会場がトイレなんだという非常にスキャンダルな描写に度肝を抜かれる。そして描かれる政界の退廃とした様子。当時のチリの政治はネルーダ含め非常に混沌としていることがよく分かる。

そして、本作は「イル・ポスティーノ」以上にネルーダの心情に迫っている。ネルーダののらりくらりした性格、政府に狙われてもヘラヘラしている感じに感情移入することは容易ではない。そんなヘラヘラしているネルーダの心情がナレーションで語られている。そう、本作はパブロ・ララインの解釈の元、パブロ・ネルーダの生き様に補助線を引いた作品と言えよう。

最後に…

正直、ブンブン、あまりネルーダのことを調べずに観たので寝る寝る寝るーダ、睡魔との闘いでしたが、終盤の雪山での逃走劇の壮観な風景描写等見所が多い作品である。ってことで11/11(土)ポッキーの日に是非劇場でウォッチしてみてください。

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