世界一長い映画「アンビアンス/Ambiance」の7時間20分予告編耐久マラソンに挑戦してみた結果…

世界で一番長い映画の「Ambiancé」7時間20分予告編耐久マラソンに挑戦してみた結果…

突然ですが皆さんにクイズです。

「世界一長い映画の上映時間はどれぐらいでしょう?」

長い映画と言えば、それこそ約4時間ある名作「風と共に去りぬ」や、この秋公開となる5時間弱のフィリピン映画「立ち去った女などがあります。ブンブンは今まで観た映画の中で最長な作品は何かと考えたとき、ジャック・リヴェットが撮った12時間53分の作品「アウトワン」が頭に浮かびます。

さて、正解はというと「Logistics」という作品です。歩数計がどのように作られ、エンドユーザーに運ばれるかを追った実験映画でなんと、上映時間は35日と17時間ありますwちなみに、この「Logistics」はオンライン上で観ることができます。

ちなみに世界最長の映画第2位はデンマーク/フィンランド/ベトナム合作「Modern Times Forever」。ヘルシンキのストラエンソ本社が解体される様子を淡々と描いた作品で、上映時間は10日です。

さて、そんな狂ったような上映時間の映画群を前に、新たな歴史を刻む作品が現在作られているのをご存じだろうか?その作品は「Ambiancé(雰囲気)」。このスウェーデンの実験映画は2020年12月31日に公開できるようにAnders Webergが一人コツコツと編集作業しております。タイトル詐欺ではありますが(すみません)、本作の上映時間は720時間、なんと30日間もあるのです。本作が完成すると、上記の「Logistics」に次ぐ世界番付2位の作品になります。

「Ambiancé」予告編が出来たぞ!

そんな衝撃のプロジェクト「Ambiancé」の最初の短い予告編がweb上で公開されました。通常、予告編というとたかだか2分、長くても5分ぐらいなのですが、この「Ambiancé」の予告編はなんと7時間20分ありますww普通の映画3~4本分ですよ!

そんななが~いなが~い予告編。折角の夏休み、暇人ブンブンは全編観て観ることにしましたw

まず、10分近くかけてタイトルシーンが展開されていく。「LIFE」「DEATH」といった文字が中央部分で揺れ動く、多重露光で、荒野の中で人々の影が交差する。開始1時間、ほとんど何も起きない。いや、起きてないことはない。白い男と黒い男が踊り、謎の儀式をし始めているのだが、クールながらも退屈な映像にブンブンはこう気づかされました。

「これは観る映画/予告編ではない」

「Dont’t think,feelな映画/予告編だ!」

「いやこの解釈も間違っている、映画/予告編と暮らす。タイトル通り、雰囲気に身を任せる映画/予告編なのかと」

そして、あまり深く考えず、息を吸うようにして本作と向き合ってみました。すると、この荒野から面白いものが見えて来ました。それは、監督がいかにイングマール・ベルイマン好きかということ。ずっと「こんな風景どっかで観たことあるなー」と思っていたら、ベルイマンの「仮面/ペルソナ」いや「第七の封印」そのものだったのです。荒野での繰り広げられる「生と死の狭間」。この世のものとは思えない風景はベルイマンの演出に限りなく近い。そう、本作はベルイマンの断片をblow upにblow upに引き延ばした作品だったのです。

時間が経つにつれて、画面に消えては現れる白い男と黒い男が交わり、仕舞いには接吻を交わす。「Ambiancé」に向かい合ううちにどこ知れぬカタルシスがブンブンを包みました。

そして「THE END」の文字が映った時、ブンブンは興奮していました。実験映画の成功かどうかは、この観終わった後の興奮、ボルテージにあると思っているが、予告編の時点でこれは凄いなーと思いました。

来年か再来年には72時間の予告編が作られるとのこと(ギネスブックに世界最長の予告編として載るのでは?)。そして、本編は上記の通り2020年12月31日。全大陸同時公開し、この伝説的な1回限りの上映が終わったとき、総ての撮影フィルムを破棄すると監督のAnders Webergは語っています。果たしてどんな作品になるのかブンブンは楽しみでしょうがないですww

当ブログで扱った上映時間が長い映画記事

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“Ç”【ジャック・リヴェット追悼】「アウトワン」#2 バルザックと障がい
“Ç”【ジャック・リヴェット追悼】「アウトワン」#3 日常を切り取る
【ジャック・リヴェット追悼】アウトワン#4 END OF FIRST PART
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