「ZOO(ピーター・グリーナウェイ)」食事中にゼッタイに観ないでください!

ZOO(1985)

監督:ピーター・グリーナウェイ
出演:アンドレア・フェレオル、
ブライアン・ディーコン、
エリック・ディーコンetc

評価:75点

先日、ピーター・グリーナウェイの「ZOO」のブルーレイを買いました。ピーター・グリーナウェイといえば、中学時代に「コックと泥棒、その妻と愛人」を観て、衝撃的な食甚描写に驚かされた記憶があります。今回買った「ZOO」は母親が昔観て衝撃的だったと語っていた作品だけに興味津々ウォッチしてみました。果たして…

「ZOO」あらすじ

動物学者として動物園で働いている兄弟は同時に交通事故で妻を亡くす。兄弟は哀しみを癒やすために、動物や食べ物が腐食する様子を撮影することに没頭する…

腐敗博物館

本作はストーリーがあってないようなアート映画です。そして、食事中にウォッチ厳禁な作品でした。なんたって、この「ZOO」という作品は、5分に一度のペースでコマ撮り腐敗映像が挿入されるのです。リンゴ、エビ、シマウマと次から次へと腐敗が映し出される。悪趣味で気持ち悪いんだけれども、何度も腐敗を魅せられるうちにグリーナウェイ監督の美学に惹き込まれていきます。腐敗って汚いイメージがあるのだが、どこか美しいのです。

そしてじっくりと画面を見ていく内に、本作の画に全く無駄がないことが分かってきました。シンメトリーで絵画的空間の中、野郎にフリークスが悪趣味を繰り広げる。人間の深層心理にある欲望が沸き立つ感じ、「美」と「醜悪」は紙一重であることを気づかせてくれます。

映画は元々動く絵画であった

今となっては、映画は「アクション」を楽しむものですが、映画誌初期の頃の映画は、「写真」やそれ以前の「絵画」を意識して作られていた。カール・テオドール・ドライヤーや表現主義時代のドイツ映画を始め、空間を徹底的に作り込んで演出していた。なるべく雑音が少ないように。

本作も、無駄なショットを徹底的に省き、基本的に固定且つシンメトリーで描くことで「醜悪」な描写も美しく見えるのではないだろうか。チェコの悪趣味アニメーション作家であるヤン・シュヴァンクマイエル好きなブンブンとしては、この「ZOO」はとっても好きな作品。ブルーレイを購入して正解でした。

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