【ネタバレなし】「愚行録」えっつ初長編作?バケモノ監督石川慶爆誕!妻夫木聡と満島ひかりがヤバイ汗

愚行録(2017)

監督:石川慶
出演:妻夫木聡、
満島ひかり、
小出恵介etc

評価:85点

巷で、やたらと評判の高い
「愚行録」を観てきました。
ロマン・ポランスキーを輩出した
ポーランド国立映画大学
(正式名称:ウッチ映画大学
Państwowa Wyższa Szkoła Filmowa,
Telewizyjna i Teatralna im.
Leona Schillera w Łodzi

)で学んだ
石川慶監督が
長編1作目にして、
妻夫木聡と満島ひかり
というビッグスター
を起用し、
いきなりベネチア
国際映画祭
に出品。
しかもTOHOシネマズ日本橋等
シネコンのしかも大きい劇場で
上映されるなんとも
厚い待遇を受けているところ。
公開前から凄いオーラが
プンプン
出ておりブンブンの興味を
煽る。

本作は貫井徳郎の同名
ミステリーが原作とのこと。
ミステリーってこともあり、
予告編、原作には
一切手をつけずに観た。
果たして…

「愚行録」あらすじ

エリートサラリーマン
が惨殺された事件から1年。
週刊誌記者の田中は取材は、
新たな真実が見つかるかも
しれないと、
本格的に調査する。
すると、事件関係者の
大学生時代に
真実が隠されている
ことがわかるが…

背筋が凍るトラウマホラー

「愚行録」はミステリーではない、
背筋がゾワワ〜とする素晴らしい
ホラー映画でした。

ただし、何を言ってもネタバレに
なりそうな地雷原でもあるので
良さを説明するのは難しい。
でもネタバレなしで
頑張って書いてみます。

話は
ある殺人事件をジャーナリストが
インタビューで解き明かそうとする。
現実パートとインタビューの
中身パートである大学で巻き起こる
愛憎劇が交錯するもの。

察しの良い映画ファンは、
中盤ぐらいでとある2つの小説の要素
(タイトルだけでネタバレなので
知りたい方は次のリンクを
クリックして確かめてください。
要素A

」「要素B

」)が
バックにあることに気づき、
犯人は容易に推測できる。

しかし、大事なのは犯人探しではなかった。
犯人を探すプロセスから見える
イヤーな大学の人間関係。

皆さんも大学1,2年の時、
1度や2度目撃したであろう
イヤーな愚行をとてつもなく
イヤーなカメラワーク
魅せていくところに注目してほしい。

「日本は格差社会じゃない、階級社会なのよ」
という台詞が表す通り、
まるで人間の暗部を陰から覗き見「あっ」と
決定的な瞬間を観てしまう
背筋の凍る演出があまりにも多く、
怖い怖い作品でした。
原作にあるかどうかは別として、
「日本は格差社会じゃない、階級社会なのよ」
という台詞をあのタイミングで
言わせた脚本家の技巧は
凄まじい。
と思って調べたら、
山下敦弘の脚本を
よく手がけ、
最近は「聖の青春」
ピース オブ ケイク


と快進撃を放つ向井康介
でした。

彼は、その台詞の他にも
きめ細かい脚本テクニックで、
観客を胸くそ悪い世界の
どん底に突き落とす。
主人公の妹、
主人公の取材、
インタビュー内容

3つのどれも厭且つ
どう繋がるのか分からない
エピソードをジリジリと
描きつつ、
後半で最悪な形で交差させ、
そして観終わって観客が
内容を整理することで
始めて物語の全貌が見える。
いわば本作は
「家に帰るまで
『愚行録』」
な作りになっており、
この重厚で強固な脚本を
創り上げた向井康介は
間違いなくブンブンの
私的アカデミー賞脚色賞
候補にノミネートする
凄まじさです。

さらに、
監督の石川慶は
ロマン・ポランスキーを輩出した
ポーランド国立映画大学で学び、
長編1作目にしてこんな
バケモノを作り出した。
まさに彼も「おそろしい子」です。

妻夫木聡と満島ひかりが怖い

そして本作の恐怖を
かき立てるのが
妻夫木聡と満島ひかり扮する
主役の兄弟。
どちらも、いつ爆発するか
分からない、
鬱を時限爆弾のように
抱えてしまっている役を
好演しており、
行動一つ一つが
ハラハラする。

もう観ていて、
「これ以上深追いしないでー」
と止めたくなるほどです。

本作は演出が非常に細かいのと、
物語の深部を掴むまで
時間がかかる作品なので、
家で、小さいスクリーンで
観るには適さない。
なので今映画館で観ることを
オススメします!

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