【試写会&ネタバレなし】「ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)」アカデミー賞作品賞当確!?50年代ミュージカル完全復活

ラ・ラ・ランド(2016)LA LA LAND(2016)

監督:ダミアン・チャゼル
出演:エマ・ストーン、
ライアン・ゴズリング、
J.K.シモンズetc

評価:85点

ゴールデン・グローブ賞7部門制覇を始め、世界各国の映画賞総なめ、アカデミー賞作品賞当確だろうといわれている「セッション」のダミアン・チャゼル最新作「ラ・ラ・ランド」。日本公開は2/24(金)と先なのだが、Filmarksの試写会が当たったので、先日GAGAの試写室で一足早く観てきました!(ネタバレ「ラ・ラ・ランド」解説記事はコチラ)

「ラ・ラ・ランド」あらすじ

売れない女優ミアと売れないジャズピアのセバスチャン。二人は最初こそ馬が合わずぶつかり合うのだが、段々と恋心が芽生えていく。しかし…

何故、「LA LA LAND」は成功したのか?

本作が凄いのは町山智浩も言及していることだが、スコセッシやコッポラ、ノスタルジー映画が得意なウディ・アレンですら興行収入で失敗している1950年代ハリウッドミュージカルの復活をたった31歳の監督が見事成功させている点である。
実際、本作を観ると、「ワン・フロム・ザ・ハート」や「世界中がアイ・ラヴ・ユー」とは明らかに違う作りをしているのがわかる。何故、従来の監督は50年代ハリウッドミュージカルの復活に失敗したのか?それは、あの時代のミュージカルを完全に理解していなかったことにある。

1950年代のハリウッドミュージカルは当時まだ高価で大作にしか使われなかったテクニカラーを使用した作品が多かった。カラーは珍しかったので、役者のファッションを美しい赤や黄、青でとにかるカラフルに彩ろうとしていたのだ。さらに、老若男女誰でも楽しめるようにとにかく明るく、そして斬新な演出で映画を盛り上げようとしていた。つまり当時としては最先端の娯楽だった。

「ワン・フロム・ザ・ハート」や「世界中がアイ・ラヴ・ユー」は50年代ハリウッドミュージカルに対しノスタルジー路線で描いていたのだが、ノスタルジー色と当時のカラフルさは反発しがちである。さらに、50年代ハリウッドミュージカルは最先端、言わば未来の映画だったのに対し、これらの作品は過去の作品にしてしまったから、古くささを感じヒットしなかったのだろう。

その点、「ラ・ラ・ランド」は最先端の映画だ。もちろん本作も、画面サイズを当時の大作映画で使われた超横長2.35:1のシネマスコープに設定したり、「バンド・ワゴン」や「巴里のアメリカ人」、さらにはフレンチミュージカルの代名詞「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」などを引用する、シネフィルのためのリップサービスはある。しかし、現在だからこそできるテクニックを存分に使って演出している。まさに未来の映画になっているのだ。

ポイント1.夜の描写

まず注目する点は、夜の描写が非常に多く、それがどれも美しいという点だ。1950年代の映像技術では、まず夜の撮影は厳しかった。なぜならば、暗すぎて被写体が全然見えないからだ。だから、道路に水をまいてその反射で撮ったり、昼間に撮影して、フィルターで簡易的に夜を演出していた。
ミュージカルの場合被写体を魅せなきゃいけないため、基本的には夜の場面はセットで作り込んでいた。しかし、本作では積極的に夜のシーンに挑んでいる。もちろん、昼間に撮影しフィルターを掛けて夜に魅せてたりはするものの、50年代にはありえないようなロケによる撮影、そして夜の青と役者のファッションの絶妙なコントラストを作り込むことに成功している。

2.音楽の使い方

本作のテーマは、「固執」である。
売れないジャズピアニストは、従来のジャズに惚れ込み、電子音楽等を使う新しいジャズに嫌気をさしている。しかし、時代に合わせて変化しなくてはならない苦悩を描いている。それだけに、本作も予告編ではポップなジャズばかりなのだが、ロックやニュースタイルのジャズを取り入れることで未来の映画にしている。

特に注目して欲しいのは思わぬ箇所で80年代ロックがかかるシーンだ。a-haの「Take On Me」,A Flock of Seagullsの「I RAN」が流れるのだ!この斬新さには圧倒されました。

長回し

本作では、1950年代には出来ないような舐めるようなカメラワークで縦横無尽に世界を駆け回り、しかもその一つ一つが長回しなのである。特に注記すべき点は、冒頭10分近い、ミュージカルシーンは、どうやってリハーサルをしたのだろうと思う程、ぐにゃんぐにゃんにカメラが動き回るので注目。

これはアカデミー賞だろう!

ストーリー内容的には、対抗馬のMoonlight」や「Manchester by the Seaの方が上手だろう。しかしながら、どんな人も夢中にさせる圧倒的な美しさ、そしてエマ・ストーンとライアン・ゴズリングの上手すぎる演技に痺れること間違いなし。恐らく、今回のアカデミー賞では、作品賞、主演女優賞、美術賞、編集賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞あたりは受賞するのではないだろうか?

監督賞も、従来の巨匠ができなかったことを成し遂げているので、対抗馬の勢い次第だが十分狙えると言えよう。

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