「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」:戦争会話劇の傑作誕生!!

アイ・イン・ザ・スカイ(2016)
Eye in the Sky(2016)

監督:ギャビン・フッド
出演:ヘレン・ミレン、
アーロン・ポール、
アラン・リックマンetc

評価:90点

ここ数年、ドローンによる
戦場映画が沢山作られている。
昨年はドローンによる
爆撃でPTSDを煩う
ドローン・オブ・ウォー

」や
オムニバス映画
フル・コンタクト

」が上映された。

しかし、今回観た
「アイ・イン・ザ・スカイ」は
そんなのとは比較にならないほど、
言うならば「未知への飛行」
「博士の異常な愛情」に
次ぐ戦争会話劇であった…

「アイ・イン・ザ・スカイ」あらすじ

ナイロビのある家に
危険人物No.4とNo.5が
集まり自爆テロを企てている。

それを英米が、ドローン爆撃で
持って先手を打とうとする。
しかし、肝心な家の前で
少女がパンを売っており、
緊張が走る。

少女を殺すか、少女を救い
80人を殺すか…
決死の数十分が幕を開ける…

マイケル・サンデルの
究極の例

マイケル・サンデルが
「これからの『正義』の話をしよう」

の中で、1人を殺すか、
多を殺すかという究極の
問いを読者に問いかけていた。
多くの人は「1人を殺して
多を救う」を選択するだろう。

しかし、その例を究極までに
押し上げると
「アイ・イン・ザ・スカイ」
のような事例になる。

テロリストの家を爆撃すれば、
80人の命を救える。
しかし、それと引き替えに
65~75%の確率で
家の前でパンを売っている
少女は息絶える。

そのパンを売っているのが、
「少女」、しかも「可愛い」
こともあり、
80人救ったとしても
世間からバッシングを
受けるのは確か。

イギリスとアメリカの作戦本部は
議論をするのだが、
皆誰に責任が行くかのみを
考えて、遅々として進まない。
そして刻一刻と、
家の中のテロリストたちは
テロの準備を終えていく。

本作が非常に面白いのは、
その会話劇をしっかり描いている
からである。観客が思う対策を
次々と作戦本部で展開
していくのだが、ことごとく
上手くいかない。どんどん、
究極の選択を迫っていく過程。
「1人見殺しにした方がいいのでは?」
という意見に対して、
哲学的な批評をたたみかけていく
そのスタイルに圧倒される。

そして、上の役職になれば
なるほど、世間体や自分の
地位のためになんとかして
決断を回避、責任転嫁しようと
するあたりが
シン・ゴジラ

」を彷彿させ
面白い。

これは現代版
「未知への飛行」「博士の異常な愛情」だ!
ってことで劇場で観ることを
オススメします。

年末なのもあって、TOHOシネマズ
シャンテ
は連日満席続出
しているので、予約してから
行くことをオススメします。

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