【ネタバレ】「五日物語」クリーチャーが生きている!血がドクドク湧き出る暗黒寓話

五日物語 3つの王国と3人の女(2015)
Il racconto dei racconti(2015)

五日物語

監督:マッテオ・ガローネ
出演:サルマ・ハエック、
ヴァンサン・カッセルetc

評価:60点

「ゴモラ」「リアリティー」
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞した
巨匠マッテオ・ガローネ
がダーク・ファンタジーに挑戦した
とカンヌ国際映画祭を湧かせた作品が
ようやく日本で公開されました。

マッテオ・ガローネは高校時代に
「ゴモラ」の強烈なリアリズムに
衝撃を受けた記憶があるが
果たして…

「五日物語」あらすじ

17世紀の「ペンタメローネ 五日物語」
を元に3つの寓話から構成された
オムニバス。

第一話:
子どもに恵まれない女王の
前に謎の男がやってくる。
海獣の心臓を生娘に
調理させ食べたら子供が
できるだろう。
実際に夫に命がけで
海獣を狩らせ、
野菜室にいた生娘に
調理させ海獣の心臓を
食すと女王はたちまち妊娠する。

しかし、何故か生娘までもが妊娠し
瓜二つの美青年が誕生する…

第二話:
人里離れて暮らす老婆2人組。
ある日、王子様が老婆の姉の
美声に惹かれてやってくる。
執拗に城へ来るよう頼まれる
姉は、夜な夜な城に訪れるが、
王子様は老婆の顔を見るや
否や窓から放り投げてしまう。
しかし、不思議なことに姉は
美貌となり生まれ変わる…

第三話:
なかなか夫を見つけて
嫁がせてくれないことに
腹を立てている娘。
父を説得してなんとかして
自立しようとする。
その甲斐もあって、
父は夫選定会を開くが…

パゾリーニのような作品

てっきり、マッテオ・ガローネは
リアリズム映画作家だと思っていたら、
パゾリーニのような民族寓話も
しっかり描けるんだなと感じた。

特に本作はパゾリーニの
「デカメロン」
を彷彿させるような
ダークとクレイジーさを持っている。

本作では
ジャン・アレッシオ・アッパトゥーティス
の民話集から、
「願いは叶えど代償はデカかった悲劇の女物語」
を三話抽出して描いている。

そのどれもが、いやーな感じなのだ。
一話目の、子作り物語では、
子どもが欲しいと祈ったあまりに、
夫は殉職。

さらに、どうでもいい女が
産んだ子と自分の息子が
そっくりなのだ。
こともあろうに、
自分の息子は反抗的且つ、
ソックリさんと絡み始め、
「俺らソックリさんだから
交代で王様になろうぜ」
と会議しているのを目撃
してしまう。
オカンにとって、
赤の他人の子と息子を
区別できるかどうか試されている
ようで嫌ですね~
しかも息子は全然母を愛して
いないからこりゃ堪ったもんじゃない。

二話目は、更にエスカレートしていく。
ひっそりと暮らしている老婆の
姉が悲惨な形で死んだと思いきや
超絶美人に変身。
王子様にモテルのだが、
長年付き添ってきた妹は
嫉妬する。なんとか自分も若返りたい
と街中で顔を剥いでくるという
鬼畜な内容になっている。
姉の美貌オーラが凄すぎて、
こりゃ嫉妬するわなーと思う。

三話目はクレイジー度が頂点となる。
娘よりも怪獣のようなノミの世話で
忙しい親父を娘は説得する。
親父は丁度、大切に育てた
巨大なノミが亡くなったので、
そのノミの皮を群衆に魅せ、
何の皮か当てられた人と娘を
結婚させようとする。

娘はようやく夫を見つけて
自立の道を作ってくれたのかと
大喜びする。

ブサ男が外すと喜ぶ娘。
しかし、肝心なイケメンが
ハズして落胆も大きい。
そんな中、
「悪魔の毒々モンスター」
似の超絶ブサ男がやってくる。
どうせ当たらないでしょと
親父は試しに答えさせると…
「これはノミだ!」と言うでは
ありませんか!

これは酷い。あまりの衝撃展開に
ブンブン唖然としました。
そしてこの第三話で登場する
巨大なノミの造型がまるで本当に
生きているようで
ファンタスティック・ビースト

」とは
比べものにならないクオリティでした。

全体的に、血みどろグチャグチャで、
キャラクター造形、衣裳デザイン等
申し分なく良かったのだが、
いかせん、3つの話を「イントレランス


方式で少しずつ描いていくから
鈍重で後半退屈してしまった。

やはり「デカメロン」のように、
オムニバスなら一つずつ処理
していってほしいものでした。

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