「マダム・フローレンス!夢見るふたり」、M.ストリープのオンチに注目!「偉大なるマルグリット」元ネタ

マダム・フローレンス!夢見るふたり(2016)
Florence Foster Jenkins(2016)

マダム・フローレンス

監督:スティーブン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ、
ヒュー・グラント、
サイモン・ヘルバーグ、
レベッカ・ファーガソンetc

評価:80点

世の中には、大舞台に
ふさわしくない人が、
神様のいたずらで登り
つめてしまうことがある。

それがフローレンス・
フォスター・ジェンキンスだ。
彼女は、オンチにも関わらず
モーツァルト、ヴェルディ、
R.シュトラウス
と高度な
オペラ曲をリサイタルで
歌い続け、
しまいには1944年10月25日に
カーネギーホール

で大勢の観客の前で歌った
という伝説がある。

本作は、何故彼女がオンチにも
関わらず大舞台へと上り詰めたかを
描いた伝記作品だ。

「マダム・フローレンス!」あらすじ

自分がオンチなことに気づいていない
マダム・フローレンス。
彼女が病気持ちだということ
もあり、心優しき夫シンクレアは
彼女がソプラノ歌手として
成功するように、
批評家を買収、
ピアニストや講師も
厳選し、限られた
人にしか見せない形で
リサイタルを行っていた。

しかし、次第にフローレンスの
リサイタルがカルト的人気を
持ち始め、彼女のレコードが
海軍で大反響を巻き起こす。

そして、3000人規模の
カーネギー・ホールでの
リサイタルが決まってしまう。
酔っ払い水平や
買収できなかったNYポストの
記者まで来てしまった
最大規模のリサイタル。
果たして成功するのだろうか…

メリル・ストリープすげーーーー!

まず、なんと言っても凄いのが、
メリル・ストリープの歌唱力。
「マンマ・ミーア」で抜群の歌唱力を
魅せたこともある彼女が、
ジャイアンも目玉が飛び出るほど
音痴を演じるのは非常に難しいもの。
(ジャイアンの偉業についてはアンサイクロペディア参照

)
なんたって、フローレンス・
フォスター・ジェンキンスの歌声は
リズムもなければ音を保とうとする
力もない。常人ですら、いや
普通の音痴ですら出せないような
音域を持っている。

しかし、メリル・ストリープは
見事に音痴を熱演。
しかも、フローレンス・
フォスター・ジェンキンスの
音痴を完全再現
しているのだから
凄い。

そして、聴くに堪えかねぬ音痴
ではなく、抱腹絶倒且つ
熱唱過ぎて元気がもらえる
音痴さという、
演技が別次元で凄い!
流行語大賞になった「神ってる」は
広島カープ鈴木誠也選手ではなく、
メリル・ストリープに贈る
言葉
なのではと思う程だ。

それ故に、映画にも説得力が出てくる。
ヒュー・グラント扮する夫が、
裸の王様ことフローレンスが
真実に気づき、ショックで
ぽっくり逝ってしまわないように
頑張る。そんな彼が頑張りたくなるのも
分かるほどフローレンスが
チャーミングなのだ。

そして、海軍でフローレンスの
レコードがカルト的人気を博すのも、
凄惨な戦場を忘れさせてくれる
破壊的な笑いと元気づけを
もたらしてくれるからだとも分かる。

もし、本当に酷い歌声だったら
海軍であそこまで人気は博さなかった
であろう。それだけ、
フローレンスの歌は独特の
力があるのだ。

それを映画は証明している
点非常に評価できます。
エンディングに関しても
下手にお涙頂戴、
フローレンスや夫の罪に
シンパシーを抱かせない
ようにさせている点も
スマート。

とにかく愛らしい作品でした。

実は「偉大なるマルグリット」元ネタ

シネフィルなら、あれっつどこかで
観た気がと既視感を抱く
映画だったでしょう。

そう、今年の初めに公開された
「偉大なるマルグリット」
話がそっくりなのだ。

調べてみたら、
「偉大なるマルグリット」の
元ネタがこのフローレンスの
話だったようで、単純に
舞台を1920年代フランスに
置き換えたとのこと。

でも、問題の「夜の女王のアリア」
を歌う場面は踏襲され、
かなり忠実にフローレンスの
人生に寄せています。

年末に元気を貰いたい方は、
是非「マダム・フローレンス!」
観に行ってください。

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