TIFF2016鑑賞記録3「シエラネバダ」これはルーマニア版「サザエさん」3時間スペシャルだ!

シエラネバダ(2016)
SIERANEVADA(2016)

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監督:クリスティ・プイウ
出演:ミミ・ブラネスク、ジュディ・スタテetc

評価:80点

本年度カンヌ国際映画祭で
絶賛されるものの無冠で
終わったルーマニア映画
「シエラネバダ」。

なんと3時間家族会議という
凄い内容らしい。
ってことで東京国際映画祭にて
観てきました。
TIFFJP上映作品にしては3回
上映と回数が多いのだが、
どの回もかなり空いていた。
果たして…

「シエラネバダ」あらすじ

父が亡くなり法要で一族が家に集まる。
しかしながら、父と子、
チャウシェスク時代の者と現代っ子等で
軋轢が生じ法要はカオスの淵に立たされる…
(チャウシェスク時代については
クリスチャンムンジウ監督作
「4ヶ月、3週と2日」レビューをご覧下さい。

)

「サザエさん」+「ブルジョワジーの秘かな楽しみ」inルーマニア

本作は、意外にもコメディだ。
しかし、厄介なことに面白さを伝えるのが
ひじょーーーーーーに難しいタイプのコメディである。
3時間沢山笑わせてくれ大満足の作品だったので、
真剣に本作の面白さを伝える例を模索すること
1時間…..ついに解が見つかりました。

それは「サザエさん」である。
サザエさんは、別に受け狙い抱腹絶倒のギャグはないにも
関わらず癖になる。思わず見入ってしまう。
それに近い感覚がこの「シエラネバダ」だ。

一族が狭いアパートに集合する。
女性陣は食事の準備を
するなか、男性陣はダベル。
カツオに当たるお調子者は
「至近距離でカラシニコフ銃をぶっ放すと、
脳から血が出ないんだぜ!動画観るか?」

とくだらない話をする。

ある者は、移動中の車の中で奥さんが、
「娘の学芸会で着る服が友だちのと
被っちゃったのよ!眠り姫じゃなくて
白雪姫にしましょうよ!」
と文句を言うと
「うるせー、何故ディズニー版の
ファッションに合わせなきゃいけないんだ?
グリム童話にファッションへの記述はないぞ!」
と逆ギレする。

ワカメにあたる、しっかり者の
女性は、男性陣やガヤが引き起こす
トラブルを収集しようとする。

サザエさん以上に大家族なので、
食事は始めようと思うと毎度
トラブルが起き、ドンドン遅延する。
まさに「サザエさん」の世界観に

ルイス・ブニュエルの不条理劇
「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」要素が
加わりさらにギャグ度が増してくる。

これは他人の家族会議であり法要であり、
食事からのぞき見しているだけなのに、
こうも楽しませてくれる、
まさにルーマニアが誇る
「サザエさん」なのだ。

社会の縮図が半径10mから見えてくる

「シエラネバダ」は劇中8割が、
半径10m以内の3LDK
という
非常に狭い空間で十数人の登場人物の
会話劇、心理劇が展開される
ミクロな話だ。

しかしながら、3時間の会話の中から
見えてくるのは、チャウシェスク時代と
現代のジェネレーションギャップ
だったり、父と子の確執。
保守派と革新派、ジェンダー問題だったりと
非常にマクロなものである。

まさに社会の縮図がここにありという作品でした。

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