“Ç”【ネタバレなし】「FAKE」佐村河内守は嘘つきか?

FAKE(2016)

FAKE

監督:森達也
出演:佐村河内守,新垣隆etc

評価:測定不能

聾唖者にも関わらず、
ゲーム「鬼武者」の音楽や
「交響曲第1番《HIROSHIMA》」

などを作曲。
原題のベートーベンとして
国内外で名を馳せた
佐村河内守。

しかし、新垣隆が
彼のゴーストライターだった
ことを暴露したことから、
守の人生は破滅へと向かった。

メディアからは茶化され、
フリーライターの
神山典士からは罵声を
浴びせられる。

そんな彼の一番の謎。
「佐村河内守は
ホントウに耳が聞こえないのか?」

オウム真理教に迫ったドキュメンタリー
「A」「A2」で有名な
森達也が、
彼のプライベートに迫った。
そんな問題作「FAKE」を
ユーロスペースで観てきたぞ!
ユーロスペース

↑めっちゃ混んでいたw

「FAKE」概要

メディアで叩かれ、
神童からクズへと
墜ちた佐村河内守。
事件収束まで、
彼は何をしていたのだろうか?
彼の自宅に、
森達也が潜入する…

森達也が凄すぎる

本作の何が凄いかって?
案だけ、メディアに叩かれて
人間不信に陥っている
佐村河内守と奥さんからの
信頼をよく短時間で森達也
は獲得したな
ということだ。

しかも、佐村河内守を
擁護する訳でも
非難する訳でもなく、
あくまで中立を保っているのだ。

なんたって、佐村河内守の敵である
神山典士が書いた
『全聾の作曲家はペテン師だった!』
の授賞式に森達也も出席。
ちゃっかり賞状を渡していたりするのだ。
また、ゴーストライター問題が
露見するきっかけを作った新垣隆
にも会っているのだ。

なのに、炎上レベルの喧嘩は発生しない。
森達也のどこか心を許してしまう、
人間性がなければ撮れない
ショットだらけで映画好きも唖然となる。

原一男と比べると…

この手のアクションドキュメンタリー
原一男の「ゆきゆきて、神軍」
が有名だが、あれと比べると
「FAKE」はスリルの面で互角の
クオリティだ。そして、
コメディに吹っ切れているのも
特徴的だ。

例えば、フジテレビのプロデューサーが
3人ぐらい集まって、大晦日
特番に出演するよう説得する
シーンがある。

明らかに馬鹿にする気満々なのに、
詭弁を弄しまくる。
ただ、明らかに「MC:おぎやはぎ!」
「今年話題になった人で一年を
笑い飛ばそう」
といった
企画書の文面が目に飛び込み、
隠しきれない。

取引を成立させないと、
上司に怒られるのだろうか、
フジテレビのプロデューサーが
冷や汗を搔きながら説得する。
この光景が滑稽だったりする。

また、佐村河内守の
猫に時々フォーカスを当てるのだが、
「牡蠣工場」

等の観察映画
で有名な想田和弘を想起
させられるシュールな撮り方を
していて笑いを誘う。

こんなに、笑えるシリアス
ドキュメンタリーは初めてだ。

問題の聴覚問題は…?

そして極めつけに、
スリリングな描写の連続で
ドキュメンタリーをグランド
フィナーレに持ち込む。

観客の最大の関心。
「佐村河内守の
聴覚障害は嘘か誠か?」

常に、奥さんとのやり取りに
緊張が走る。

彼も、毎回言葉を選んで話している。
まるで詰め将棋をしているかのような、
一手一手を大切にする発言に、
観客の緊張もマックス。
ある種の「ヘイトフル・エイト」

やん!

そんな彼の真実がどうだったかは
劇場で確かめて欲しい。
あまりに衝撃的な展開に、
唖然だ。そして、観終わった
あとはオーソン・ウェルズの
「FAKE」が観たくなるはずだ。

P.S.オーソン・ウェルズの
遺作である「FAKE」は現在DVD
が廃盤になっているようで、
プレミア価値がついて
しまっています。

もし、どうしても観たいので
あれば、youtubeに全編
挙がっているので、
お試しあれ。

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