“Ç”【監督舞台挨拶潜入】「LISTEN-リッスン-」音のない音楽を聴く

LISTEN-リッスン-(2016)

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監督:牧原依里
出演:雫境、米内山明宏etc

評価:45点

全編サイレント、出演者全員聾者
(聴覚に障がいを持つ人)の
アートドキュメンタリー
「LISTEN-リッスン-」
先週5/14から公開され
話題を呼んでいる。
ってことで昨日、
監督のトークショー
つき上映会に行ってきました!

ブンブンの周りの席に座る方が
聾者だったので、
彼らの反応も観ることが
でき非常に興味深い会
だったのだが…

「LISTEN-リッスン-」概要

聾者である牧原依里が
クラウドファンディング
約280万円を集めて創り上げた
アートドキュメンタリー。

聴者に聾者の音楽を体感
してもらうべく、
全編サイレントで描かれている。

そして聾者の魂の踊りから
奏でられる「音のない音楽」
を体感せよ!

ホントウに「音」が聞こえてきます

「音のない音楽」って存在するのか
と観る前から疑問に思っていたのだが、
ホントウに聞こえてきました。

白い服を着た6人の聾者。
角のポーズやグー、パーといった
巧みな指捌き、手捌きで
ブンブンの頭の中に
「ポロン」「チュォーン!」
といったメロディが流れてきました。

すげー!

舞踏家の雫境(DAKEI)さんの舞い
からは風を切るような
メロディが流れてくる。

スクリーンの前は、
静寂しかないのに、
画面の底から音楽が
流れてくる。
ソウルが、ロックが、
愛が流れてくるのだ!

そして隣を観ると
聾者のお客さんが
楽しそうに動きをまねして
観ている。

しっかり堪能させて!

それ故に、ブンブンは非常にがっかり
したところがある。

それは「音楽」をじっくり堪能させてくれない、
せっかちなのだ!

演目が終わってもいないのに、
頻繁に違う演目に切り替えて、
また、戻すを繰り返す。
確かに一曲まるごと聴かせてくれる
演目もあったのだが、全体的に
荒っぽい。

演者のインタビューのはさみ方も
唐突だ。

この状況を例えると、
フレンチレストランでコースを
頼み、まだスープの味を堪能しているのに
メインディッシュのムニエルとか、
アーティスティックな料理が出される
状況だ。

折角、繊細な料理を堪能しているのに
他の料理が客と料理のコミュニケーションを
阻害する。

まさにそれをやってしまったのだ。

また、インタビューの字幕はいいとして、
草むらや路を疾走するシーンの字幕が
味を台無しにしている。

もし、説明を入れるのであれば、
ど真ん中に、文字を半透明にし、
流れるようなテロップ回しを
するべきである。

その二点さえ、なんとかなっていれば、
100点のできだったのに非常に残念だ。
もし、また同様の題材で作るのであれば、
ヴィム・ヴェンダーズの
「Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち」
を観て勉強することをオススメする。

大惨事m(_ _)m舞台挨拶

雫境

上映終了後に、監督と
雫境さんによる舞台挨拶がありました。
両者とも聾者なので、
手話翻訳者と、テロップ屋さんを
配備し行われたのだが、
非常にグダグダで「監督に失礼だろう」
と怒りたくなった。

翻訳者は2人いて、
ベテランとその助手みたいな
感じだったのだが、助手が
全然翻訳ができなくて、
ベテランのフォローが上手くいかず
タジタジ。

テロップ屋さんも、
監督の名前が嫌韓になったり、
聾者の音楽がローソンの音楽
とテロップが出されたりと、
一番あってはならないミスを
されており、一番最悪な
舞台挨拶を目の当たりにしました。

とはいえ、監督の熱い思いに
泣けてきたぞ。
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↑牧原依里監督

聾者にとって音楽は訓練という
イメージが強く嫌いなものだそう。
聾者学校では先生から
音楽は関係ないでしょと
言われ、トラウマを抱えている
人が多いのだ。

今回の作品では、
素人を起用し、
最初は「音楽なんてできっこない!」
と思っていた聾者を
奮い立たせたとのこと。

ドキュメンタリーの持つ
社会運動として大成功
じゃないですか!
感動的なトークを
聴けて、運営こそ凄惨だったが
内容に大満足でした。
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↑雫境さん

雫境さんの舞踏は
「時」を操っている
ような覇気があります。

6/3にみなとみらいの
象の鼻テラスというところで
トークショーを行う

とのことなので、
興味のある方は是非
足を運んでみてください。
(「LISTEN-リッスン-」公式サイト

)

関連項目

全編手話のヴァイオレンス映画「ザ・トライブ」感想

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