“Ç”「21グラム」 「レヴェナント」のイニャリトゥ作品を観よう!

21グラム(2003)
21g(2003)

21グラム

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、
ベニチオ・デル・トロetc

評価:60点

第88回アカデミー賞、
今年は作品賞と監督賞が読めない
展開となっている。
作品賞は「スポットライト 世紀のスクープ」
「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

そして「レヴェナント:蘇りし者」
それぞれ、「これを抑えればほぼ確実に
作品賞獲れるよ」と言われている賞を
取り合っており、まさに矛と盾の対決が
繰り広げられている。

そんな中、ダーク・ホースとして
君臨するのがアレハンドロ・ゴンザレス・
イニャリトゥの「レヴェナント」
だ。

昨年のアカデミー賞で「バードマン」
により作品賞と監督賞を奪取した
彼が前代未聞の二年連続、作品賞&監督賞
ダブル受賞を果たしそうで今話題になっています。

そんな彼の初期の作品「21グラム」を観たぞ!
ショーン・ペンがヴェネチア国際映画祭で
男優賞
を獲った本作果たして…

「21グラム」のあらすじ

人は死んだときに21グラム、
チョコレートバー1本分だけ軽くなる…

交通事故で家族を失った女性、
交通事故を起こした男、
心臓移植を受けた男が絡み合い、
壮絶なラストに向け疾走する…

一番イニャリトゥらしくないタッチ?

2000年の「アモーレス・ペロス」でデビューを
果たしいきなり世界的注目を受けた
メキシコ出身のイニャリトゥが
2003年に作った全編英語長編デビュー作。

イニャリトゥの作品と言えば、
「バードマン」や「BEAUTIFUL」
「BABEL」
といった比較的
アート色が強い監督である。

本作は、全体的にアメリカ郊外の
寂れた町の寂れた人々による
生活をドキュメンタリータッチで
撮っているため、一見すると
イニャリトゥらしくないように見える。

しかし、彼が得意とする人間の
心の変化、様々な人のアンサンブル描写の
基礎を作った作品だと言える
(「アモーレス・ペロス」は未見なので
何とも言えないが)。

余命1ヶ月を宣告されたポールは
心臓ドナーを待つ一方、
段々自堕落になり、
麻薬におぼれるようになる。
奥さんは彼が死ぬ前に子どもを
作りたいと言うがなかなか
気乗りがしない。

刑務所から出所した男ジャックは
すっかり改心しキリスト教を熱心に
進行し貧しいながらも愚直に
働いている。

ある日、くじでトラックが当たり、
大喜びで一生懸命に働いているが、
ある日交通事故を起こしてしまう。

全体に立ちこめる負のオーラ。
どん底からどうあがけば
いいのか悩む3人が
切なすぎて泣けてくる。

言うならば「バードマン」は
一人のどん底にいる男が
かすかな希望のために
血眼になる話だが、
本作はその3倍の
悲しさがある。

やはり一番良かったのは
ショーン・ペンの演技。
結構余命ものって、
はっちゃけて遊んだりして
残りの人生楽しむじゃないですか。
この主人公はひたすらに
絶望し、セックスにすら
悲観的になるのだ。

事故をきっかけに
どん底に落ちる人を描いた
作品だとポール・ハギスの
「クラッシュ」を思い浮かべるが、
それに比べ遙かに
悲惨だ。

イニャリトゥが撮った
えぐい人間ドラマ。
「レヴェナント:蘇りし者」公開前に
観てみてはどうでしょうか。

関連項目

第88回アカデミー賞21部門予想

「バードマン」感想

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