“Ç”「ディーパンの闘い」カンヌでパルムドールを獲った移民ドラマ

ディーパンの闘い(2015)
DHEEPAN(2015)

ディーパンの闘い

監督:ジャック・オーディアル
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、
カレアスワリ・スリニバサンetc

評価:60点

今日は何の日かな?
バレンタイン?
いやいや、TOHOシネマズデーじゃよ。
毎月14日は1100円で映画が
観られるので、今回
昨年カンヌ国際映画祭で
パルムドールを受賞した
移民ドラマ「ディーパンの闘い」
TOHOシネマズシャンテ
観てきました。

「ディーパンの闘い」あらすじ

スリランカの内戦で家族を失った男
ディーパン。フランスへ亡命するため、
似た境遇の女性と子供と
疑似家族を形成し、
フランスに移り渡る。
全くわからないフランス語、
理解できないフランス文化に
戸惑いつつも郊外の
団地の管理人として生活を
始めるが、
ギャングが昼間から銃を
撃つ危険な環境に頭を悩ませ…

移民の立場から先進国を観る

近年、ヨーロッパを中心に移民問題に
対する注目が集まっている。
シリア難民を受け入れるか否かで、
ドイツ国内が荒れ、デンマークは
移民を受け入れないよう
広告を出したり、学校給食に
宗教関係なしに豚肉を入れ
ようと反移民政策を行っている。

映画も「サンバ

」や「パディントン

」と
娯楽作品に移民問題の陰を
にじませていたりする。

そんな中、移民問題を移民目線で
見つめた本作がパルムドールを
獲ったのはある意味必然であろう。

よく、ヨーロッパに行くと見かける
ライターやキーホルダーの物売り
がどうやって発生するのか、
移民がどうやってフランスに行き着くのかを
前半重厚に演出する。

何も学なしに先進国へ移り住むためには、
家族を作る必要がある。
そして、NGOの職員と名乗り、
内戦の被害に遭ったと情に訴えることで
フランスへの移住許可がおりる。

しかし、勉強をろくにせず、
フランス語もろくに話せないため
パリから郊外のスラム街へ移る。

そして、ドラッグや銃に犯された
団地で怯えながら日々堪え忍ぶ…

結局、国を移っても、
強みがないから劣悪な環境で
生活しなくてはいけない先進国
の状況が果たしてよいのかと
考えさせられる。

そして、デンマークがあそこまで
移民や難民を受け入れるのを
拒否する理由もよくわかる。
自国に貢献できず、折角築いた
ユートピアをスラムによって
壊されてしまうからである。

そう考えると、すしざんまいの
木村清社長
がソマリアの海賊に
ビジネスを教え、海賊を
減らしたのは正しい選択だなと
思った。

映画の話に戻すと、
「預言者」「君と歩く世界

」で
どん底の人々を撮すのが上手い
ジャック・オーディアル
パルムドールを撮りがたい
汚い世界を汚いように撮り
徹底してリアルを突き詰めた。

ブンブンがフランス留学中、
本作のような移民団地の
すぐそばに住んでいただけに
ナマの質感だなと痛感させられた。

しかし、一方でラスト、
起承転結の転結の
部分に全くのリアリティが
なくご都合主義的なところが
鼻についた。
B級アクション映画にありがちな
壮絶な描写を本作で
取り入れる必要があったのか?
恐らく、本作がパルムドールを
獲ったとき、映画ライター
中心にブーイングが出た理由が
まさにこれだと思われる。

サウルの息子

」や「キャロル

」の
ような終始一貫した作りに
なっていなかったところに
「惜しい」と絶句せざる負えない
作品でした。

移民問題を受け入れ側から描いた
ドキュメンタリー「牡蠣工場

」が
来週2/20(土)より公開。
こちらと併せて観ることオススメします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です