“Ç”建築好き必見のへ~んな映画「プレイタイム」

ジャック・タチの集大成「プレイタイム」


昨年はどうやらフランスの鬼才ジャック・タチ年だったらしく、
イメージフォーラムでジャック・タチ映画祭が開かれたり、
フランスでは、デジタル修復版DVD-BOXが発売されたりと
熱かったのだが、上手く波に乗れず、
TSUTAYA渋谷店に行くものの、なかなか借りられずに
辛酸舐めること早1年。
ようやく、ジャック・タチの映画借りることできました(*^_^*)

ジャック・タチって誰?


1930~70年代に活躍した、喜劇役者出身の監督。
撮影、脚本から主役までこなすマルチ監督の一人で、
得意のパントマイムを活かした演技がトリュフォー、
オーソン・ウェルズ等当時の映画人に大ウケ。
長編映画3作目の「ぼくの伯父さん」では、
アカデミー賞とカンヌ映画祭を制する
快挙を成し遂げました。

まるでサイレント映画のような不思議な
空間に、初見で観た人は誰もが驚くでしょう!

プレイタイム(PLAYTIME)

監督:ジャック・タチ
出演:ジャック・タチetc
プレイタイム

そんな、ジャック・タチが本気出しすぎて、
破産寸前になった作品がコレ!「プレイタイム」!
撮影日数345日、制作費約1093億円!
パリ東部にタチ・ヴィルという、
ガラス張りの巨大モダン建築セットを建てて
撮影した作品!

しかも、ストーリーというストーリーは存在せず、
近代都市を行き交う人々の様子を淡々と描いた
作品だ。

フランス語の勉強には使えないほど、
パントマイム8割、台詞も声が
小さすぎて聞こえにくいのだが、
映像はメチャクチャすてきだ♡
プレイタイム

面接のため「ぼくの伯父さん」ことユロ氏が、
ガラス張りのビルに入る。
警備員のおっさんが、係員を呼ぶ。
すると、ちょーーー長い廊下から
カツッかつっ!と係員が歩いてくる。

ユロ氏は立とうとするが、
警備員が「座って待ってろ」と諭す。
廊下が長すぎて係員は見えているのだが、
全然やってこない「もどかしさ」「おかしさ」。
クスリと笑えます。

そして、ユロ氏はオフィスにたどり着くのだが、
部屋がどれも同じにしか見えず迷子になる。
近くでは展覧会をやっているのだが、
展覧会に来た客も目的の展示にたどり着けない。

シンプルに対する批判映画

主人公や場所がしょっちゅう変わり、
画面内の情報量が異常に多い作品。
ストーリーもあってないようなもの
なのだが、じっくり眺めていると
ジャック・タチの徹底した批判が
見えてくる。

一般的にシンプル・イズ・ザ・ベスト!
シンプルにすれば生活がゆたかになる。
シンプルは良いことだと言われているが。

シンプルすぎて逆に混乱を招く。
個性がなくなるとジャック・タチは
この映画にメッセージをねじ込んできた。

ボタンが多すぎて混乱する警備員の様子なんか
まさにそうである。

また、「個性」とは何か?
も考えさせられる。

セレブ集まるパーティーでは、
狭い空間で男女が踊り狂っているが、
食事、服装がどの人も同じに見えて
ゴージャスさが陳腐に見える。

逆に寂れたカフェで、
あえて奇抜な料理を挑戦する気になれず、
パンだけ頼むユロ氏の描写。
ユロ氏が悩んだあげく、普通のパンに
かぶりつくと、他の来客もパンを頼む。
奇抜でアーティスティックな食べ物は
取り残されたまま…

不思議とつかれる、
あの描写は何だったのか?
と考えさせられました。

TSUTAYA渋谷だと、
「渋谷コレクション」価格
4本レンタル=1200円と割高
だが、一見の価値ある作品ですよ~
「プレイタイム」予告編

ジャック・タチの後継者ロイ・アンダーソン新作「さよなら、人類」公開

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↑ウィキより画像引用

ちなみに、日本で8月公開、ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞作
「さよなら、人類」はもろジャック・タチの影響を受けた作品だ。
この映画の監督ロイ・アンダーソンはスウェーデンを
代表とする鬼才。
カメラを固定し、まるで動く絵画のように
人を動かす。しかもコミカルに。
「散歩する惑星」「愛おしき隣人」とタチっぽい作品を
撮り続けた彼の新作、ブンブンは一足早く観たが
メチャクチャ笑える作品なので是非併せて観てみて
下さい。
「さよなら、人類」予告編

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