“Ç”アレッ、カレルさんですか?「フォックスキャッチャー」

Foxcatcher

監督:ベネット・ミラー
出演:スティーブ・カレル、
チャニング・テイタムetc
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カンヌで監督賞を獲り、
今回のアカデミー賞でも
監督だけでなく脚本、主演男優賞 、助演男優、メイクアップ&スタイリング賞にノミネートされている話題作「フォックスキャッチャー」を観てきたぞ!

オリンピックメダリストである、
マークシュルツが突如
大富豪デュポンの
計らいでジムと膨大な年棒を
与えられる。

以前から自分よりも賞賛される、
兄に苛立ちを抱え、
兄のいる練習場に行くのが
辛いと感じた彼は
苦痛から逃げるように
デュポンの所に赴く。

しかし、デュポンの目的は
自分のかあちゃんから褒められること
であり、教え方は断然マークの
兄の方が上だ。

そして嫉妬が交差しあい、
悲劇が起こる実話である。

「ブルース・オールマイティ」や
「ゲット・スマート」など
典型的なアメリカンコメディに
しか出ないようなスティーブ・カレル
をまさかの、病んだ大富豪役にする
一見ミスキャストにしか思えない
のだが、これが凄まじい。
彼の演技も凄いが、
あそこまで老け顏を作った
スタイリストの腕もかなり
やり手。アカデミー賞
メイクアップ&スタイリング賞
は「グランド・ブダペスト・
ホテル」と一騎打ちかな?

彼はとにかく終始、
いつ暴れ出すかわからない
オーラを漂わす。
人と接する時は言葉を選んで
話すが、顔は明らかに闇を抱えている。
こんなカレル出演映画観たことがない。

しかもチャニング・テイタムの
話し下手な筋肉マン、
トークが苦手で感情を自分の
中に押し込むせいで常に強張っている
演技に負けないクオリティだ。

作品内容も、確かにカンヌを
あからさまに狙ったかのような
媚びた作り(サントラ少なめ、
カメラ固定、単体と描く,犯罪系etc)
に見えていやらしく思えるのだが、
終始漂う緊張感、語らない葛藤描写
の演出がむちゃくちゃ上手い。

例えば、デュポンが母親に
認められようとする場面。

レスリング道場に母親が来た途端
焦ってデュポン自ら生徒に練習を
施す。数分前のシーンで、
マークシュルツの兄がデュポン
の前で生徒を指導するシーンを
入れることで、コーチ力の差を
演出。デュポンの嫉妬を描き切る。

この作品は登場人物皆
トークベタ故に、
細かい映像配置で感情を
描写しないといけないのだが、
これは見事としか
言いようがない。
最近の日本映画は、
なんでも気持ちを語り始めるので
映画を制作する人は
観るべき作品だぞ!

というわけで、お化け屋敷で
謎解きをしているよう、
あるいは夏目漱石の「こころ」
を読んでいるような作品でした。
(「こころ」同様、こちらも
かなりゲイゲイしい作品です)
「フォックスキャッチャー」予告編

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